スポーツカーを見たら逃げろ! 

アメリカ不動産投資で資産倍増中!ブログの中山道子です。

今日は、軽い話題です。「へーそうなのか(笑)」くらいのリアクションで。

この記事の概略

同じ「お金持ち」でも、「お金の出入りの荒い方」と、「お金の運用が上手な方」との違いのサインの一つが、「スポーツカー」などの「お金持ちアイテム」。

私達がお金を貸す時、ターゲットするのは、この「お金の出入りが荒い方」のほう。収入や資産が多い方が、キャッシュフローでつまずく場合ですね。

実は、金融の世界では、「スポーツカーを運転するファンドマネージャーは、業績が悪い」という研究が本当にあるそうです。

他方、自分自身がどうあるべきかという観点から見直すと、多くの投資家、アーリーリタイヤや資産形成を目標にする方にとっては、「運用上手」に回るべき。

そうすると、「スポーツカー/別荘は鬼門」になるかもしれません。

毎回のことなので、もう慣れましたが、お金を貸す相手、ほんと、皆さん、わたしよりリッチな生活をしているんですよね。この記事では、最近の例を2つ、取り上げてみます。

現在、取りまとめているのは、「不動産経営のLLCを一つ破産させた」人の大型融資案件。

借り手は、商業物件をいくつか経営しており、それらが総て別々の会社(LLC)になっています。

経験豊富なはずが、経営中、急にテナントが減り、賃貸収入がなくなってしまった、その結果、その間の銀行への返済が焦げ付き、会社を一つ、破産させることにしたのです。

他の会社(物件)は、いずれも、不調を脱し、現在、満室経営中。場所もよく、バリューもあるということですが、

会社を一つ潰したこの方、他の会社で経営する他の物件に対する融資引き上げ、いわゆる「貸し剥がし」にあうことになってしまったのです。

他の物件はいずれも返済焦げ付きはなかったのですが、融資銀行にとっては、リスクプロフィールが大きく変わったわけです。こういう状況のこの経営者に、今、よそからの商業ローンの借り換え融資も降りません。

一部の物件を整理するべきなのですが、商業不動産は、まともな値段を付けるためには、1年かけて売らないといけない上、買い手のほうで、いろいろ条件をつけてくることも多いので、返済期限に間に合いません。

ということで、クリエイティブなつなぎ融資を行う事ができる当グループのブローカーへの打診となったわけです。

この人は、いわば、「破産バツイチ」となったわけなので、融資をするにあたっては、いろいろデューデリが難航しました。細かいことは、ここでは、ご説明しませんが、ガチガチに固め、家賃収入は、当方が直接、全額、テナントから回収管理するなどの仕組みが組み込まれることになりました。

結局、抵当物件合計評価額は、5,780,000ドル、融資額は、380万ドルほどで落ち着きました。私の投資家グループは、この内の270万ドルを投資します。

これらは、いずれも一番抵当権なのですが、その他、プラスオンで、別荘を持っているということで、その別荘のほうに、二番抵当権が付きます。

今回の記事の一連の写真は、その100万ドルの別荘の写真。融資が55万ドルほどついていて、その別荘を今売りに出しているので、それが売れたら、380万ドルの融資の分に付き、40万ドル位、早期償還になります。

この5ベッドルームの巨大な吹き抜け付き別荘物件に、エクイティが何十万ドルもあって、反面、本業、飯のタネの商業物件のほうはといえば、空室時期が長引いたとき対策の積立がなかったってことですね。

そうですか。ほう。。

この別荘、流石に、もう維持できないと観念したらしく、去年からFOR SALEになっているという記録がありますが、最初、130万ドルからと、強気な値段をつけているので、全然売れず、1年以上経って、今、100万ドルを切っています。

それでも、周辺別荘に比べ、倍の値段なんですけど、共有プールとクラブハウスには、それだけの価値がありましたか?

さて、ここで、次の例です。

本題?のスポーツカー!

下の車の写真は、実は、融資をして、しかも、デフォルトとなり、訴訟で取り立てに入った案件から。

借りた人のウエブサイトのキャプチャー画像です。成功者感を出しまくり。「これでもか」とスポーツカーが、7、8台もサイト上みせびらかされていました。

この方も、不動産エクイティがリッチで、当方審査上、1、000万ドルの含み資産があることが確認されているので、フツーに法的手段を使い、取り立てるだけなのですが、このケースも、

「含み資産はあるのにキャッシュフローの計算が苦手なタイプの不動産投資家」

ということになりそうです。

資産はガチで10億円をくだらず、スポーツカーは複数台、なのに、今月の返済に、100万円がないというあなたは、何なんでしょうか。。。

この方のホームページのこの写真にある、

KEEPING IT REAL

って、口語で、「現実を見据えて発言/行動する」とか、「地に足をつけている」ことを言うんですが、「俺のリアルは、スポーツカーウジャウジャ状態。おれは、おれ。これからもかっ飛ばすぜ!」みたいな感じでしょうか。

こちらも、今風の言い方をすると、

You do you.
(=あなたはあなたの好きなようにどうぞ。)

としか言い返せませんね。。。

いや、そうじゃない!

Do you の前に、スポーツカーのリースなんか解約して、資金繰り改善しましょうよ。

日本でも、よく、「スポーツカーに乗っている成功者然としたイメージ」の怪しいウエブサイトで、ネット☆ークマーケッ☆ィングの勧誘をしていたりするサイトとか、昔からありましたが、実は、これらのケースを見るにつけ、しばらく前に読んだ金融関係のリサーチのことを思い出しました。

それは、ズバリ、

「スポーツカーに乗っているヘッジファンドマネージャーは、ミニバンに乗っているヘッジファンドマネージャーより成績が悪い」

というもの。

ジャーナルオブファイナンスという業界誌に一応掲載が決まったということで、ビジネススクールの先生が数人で書いたというのですから、単なるジョーク研究ではなさそう。

名門誌「ザ・アトランティック」で紹介されていた記事はこちら

原典は、こちらから登録すると無料で読めます。
Sensation Seeking and Hedge Funds

対象は、1,144人のヘッジファンドマネージャー。アンケートではなく、これらの人たちは、規制を受けるので、財務開示義務があるということで、それらの公開情報をリサーチし、これらの人々が購入した1,774台の車を調べたところ、

高級スポーツカーに乗っているヘッジファンドマネージャーは、より高いリスクを取ろうとする。それらは、成果を伴わない。また、これらのヘッジファンドマネージャーは、以下の確率がより高い。

> ヘッジファンドをやめてしまう確率(通常は失敗が原因)
> 違法行為を犯す確率
> 売り買いをより多くする確率
> 自信過剰になる確率(定石でない投資、高リスク高リターン投資)

スポーツカー組のボラティリティは、17%高い。

ぼろぼろ!

論文の執筆者たちは、この理由を、

SENSATION SEEKING (刺激追求型の性格)

という特徴で説明しようとしています。

スポーツカーを買ったから、株式投資で失敗するのではなく、スポーツカーを購入するような性向が、株式投資において、マイナスと出る。

CAUSATION(原因と結果の問題)ではなく、CORRELATION(相関性)があるということ。

ギャンブラー気質ってことですね、、、汗

個人レベルの投資家のプロフィールでは、前から言われてきたことなそうで、日本でも最近流行りだした「行動経済学」の領域にも入る話です。

例えば、複数の研究によると、女性株式投資家のほうが、一般に、男性よりパフォーマンスが高いということが、欧米では言われてきていて、その理由として挙げられるのが、やはり、センセーションシーキング(新しいこと、強烈なものを体験しようとする気持ち)。

刺激追求の度合いというのは、一般に、男性の方が、高いのです。

Are Women Better Investors Than Men? Here’s What The Studies Say

男女差が出る実際の理由は、「女性が売り買いの頻度が低い」という一点だけ!

統計的なパフォーマンスの違いは、1年単位で、0.4%しかないそうなので、別段、すごい性差ではないのですが、投資というのは、数10年単位にわたる活動なので、「やっている人の間」で見ると、差が開いていくそうです。ただ、一般的に、女性の株式投資家というのは、男性より数がずっと少ないので(多くの人は夫婦で、男性主導でやっていたりする)、活躍しているように見える人は、通常、男性であるという認識自体は間違っていません。

このブログは不動産についてのブログなので、株式についてはこれくらいに。

不動産投資においてそういう研究というのは、耳にしないので、投資つながりで、株式の話をご紹介しました。

スポーツカー、別荘、宝石、、、

いずれも、度を越すと、刺激追求が目的になってしまう。

投資は、確かに、リスクテイクが前提ではあるのですが、それが高じて、「刺激追求のための刺激追求」となると、取り返しがつかなくなっていく可能性がありそうです。

スポーツカーのオーナーを見たら、ミニバンのオーナーより、刺激追求型の投資スタイルを取っている可能性がある。単なるイメージだけじゃなかったんですね。

あ、私ですか?

トヨタのカムリ以上の車に乗ったことはありません。洋服は、セカンドハンドか「スーパーの服」です。

「逆の方向」に行き過ぎ、、、

私の顧客様でも、実は、一番多いのが、この「見たところ、全くわからない」タイプです。

この記事のまとめ

資産形成が目標なら、キャッシュフローマネージメントに失敗しがちな「お金の出入りの荒い人」ではなく、余裕を持って行動できる「資金運用の上手な人」を目指すべき。

投資についても、刺激追求がすぎると、INVESTMENT ではなく、GAMBLE になってしまいます。

起業や投資には、ある程度のリスクテイクはつきものですが、ここらへんを感情的にコントロールするところに、スイートスポットがあります。

よく考えたら、破産とか、取り立てとか、それほど「軽い話題」で終わらなかったかもですね。