デトロイト戸建て賃貸件数成長率が全米トレンドを上回る:2025年第2四半期市場アップデート

戸建て賃貸データ:デトロイトの大躍進

私が共同運用するMutual Trust Management Advisorsでは、ワーキングクラス・エリアにある賃貸用中古住宅の取得と運営に投資を集中しています。

今日のご報告は、全米の戸建て賃貸市場の成長が鈍化しつつあるという事実。また、機関投資家層が経営するアパート物件市場の成長も、やはり低迷しはじめているという状況。しかし、実は、そんな中、デトロイトは、米国で最も堅調な戸建ての賃貸住宅市場の一つとして際立っています。

Multi-Housing Newsが発表したコアロジック社戸建て賃貸インデックス(CoreLogic Single-Family Rent Index)によると、2025年6月時点で、全米の戸建て住宅の賃貸件数の成長率は年率で、2.9%でした。それに対し、デトロイト市場の成長率は大幅にこれを上回り、去年比で、年率5.1%の増加を記録しました。これによりデトロイトは、戸建て賃貸市場の成長率で、トップスリーにランクインをしたことになります。

デトロイトの戸建て賃貸件数が増加し続ける理由:

デトロイトの賃貸物件は、近隣の姉妹都市よりも、手頃な価格帯を維持しており、郊外の市場から締め出された賃借人を引き付けることができます。特に、この10年で、治安が大変よくなったため、今までのように、デトロイト市を、「危険」と特別視する傾向が薄まっているという背景もあります。

そもそも、この地域では、戸建て住宅の新規供給総数が限られたままです。

というのも、機関投資家が昨今よく手掛ける<新築の賃貸案件>というのは、デトロイトのような地域を避ける傾向があるというのが一因。理由は、エリア的に、要修理を含めた中古ストックが多く、新築を作って賃貸をすると、「割に合わない」からです。

同時に、個人レベルの自宅購入者も、このエリアでは、所得水準等の制約により、新築は、あまり現実的ではなく、とにかく、新築ストックの供給が、恒久的に低迷し続ける状況であるのです。実需組とて、大規模用修理物件を買って、自分たちで屋根を直したりするような余裕はありません。

結果として、今後も、この環境が、賃借市場の安定成長を支える背景でありうるわけです。

デトロイト市場に根ざしたバリュー案件の取得を続けている当ファンドなら、全国的な状況が変動しても、持続可能なリターンを生み出すことができるというわけです。

アパート物件市場に関する追加注記:ここでも、デトロイトが引き続き優秀なパフォーマンスを示す

ちなみに、私たちのファンドには、アパート物件も、ポートフォリオ内に存在します。そこで、2025年6月のYardi Matrixレポートからのアパート物件データを見てみましょう。

全国的に、アパート物件の賃貸件数成長率は年率わずか0.9%まで減速しています。

それに対し、比較すると、デトロイトは2.9%の増加を記録し、調査対象となった都市群において、再び上位5以内にランクイン。デトロイトの新規アパート物件供給状況がやはり低水準であるため(過去12ヶ月で総在庫のわずか0.8%が追加)、他の市場が、過剰供給と需要の軟化を経験する中、ここでも、堅調ぶりを発揮したというわけです。

対照的に、オースティン、フェニックス、デンバーなど、以前、高評価だったサンベルト市場では、まさに、過剰供給と需要低迷により、賃貸件数総数において、前年度比で年率2-5%の下落を経験しているというのですから、不思議なものです。

私たちのファンドについて

2025年半ばの時点で、デトロイトは、経験豊富な地元の業者にとっては、引き続き、魅力的な市場であり続けています。

**出典:**
コアロジック戸建て賃貸インデックス(CoreLogic Single-Family Rent Index)、Multi-Housing News経由
Yardi Matrixアパート物件全国レポート – 2025年6月

この記事の原典は、MTMAのブログにて、2025年7月22日に発表された英文記事です。