不動産投資ブロガー転じて、プライベートエクイティファンドマネージャーの中山道子です。
今回は、久しぶりに、《不動産投資の失敗編》。「そんな失敗があるの?」と思われるかもしれませんが、「固定資産税を振り込むのを忘れた人々」のケースをご紹介します。
現物投資には手間がつきものなのが、不動産のデメリットなんですえ。
大局的には、不動産のいいところは、株式と違ったベクトルで動くこと。実物資産であるため、不況時には、家賃というキャッシュフローが続くため、安心して好景気を待つ事ができます。
2025年9月、先行き不透明感が高まっていますので、こういうときこそ不動産の動きをマスターしておくことで、安心できるのではないでしょうか。
しかし、「こんなケースもある」という話です。
まずは、私が米国で共同経営しているファンドの背景から。少しややこしくなりますが、お付き合いください。
ファンドの共同経営者の一人は、管理会社も経営しており、それが、当ファンドの競争優位の一つでもあります。
ということで、ちょうど、今日、その共同経営者から電話がかかってきました。
「事前に相談なしで悪いんだけど、今日、役所で、競売があって、自分の管理会社で管理している賃貸中の物件が何件か、競売にかけられているんだ。本来は、ファンドの物件の仕入れにあたっては、最初に購入予定を作って、査定をしたりしなければいけないのが決まりだけれど、オークションの場合、指値で購入できるかどうかもわからない。このケースは、例外的だから、事前アンダーライティング(査定)が難しいけれど、自分にとって《これは絶対買いだ!》と思う価格でせり落とすことができれば、すぐ連絡するから、任せてもらっていいかな?」という内容の相談でした。
通常物件購入にあたっては、三人のパートナーたちで、物件価格、築年数、修理代、テナントの精査、場所、状態と、ありとあらゆる情報を検討し、合議で購入を決めています。
共同経営者の話は、つまり、そのプロセスをちょっと端折って、落札できたら、秒速でアンダーライティングをやってしまおう、というのは、自分としては、普通に仕入れるより割安で購入できる自信があるから、ということです。
彼が、これらの物件について「アンダーライティングをとりあえず棚上げしても大丈夫」という自信があるのは、なぜかというと、実は、彼の会社で普通にマネージメントしている物件だからなのです。
聞くと、テナントもきちんとしており、エリアもよく、本来、競売に出てくるような物件ではないのです。
がしかし。
市役所が売りに出すには、理由がありました。
なんと、遠方の不動産投資家たちは、家賃だけ管理会社から回収し、固定資産税を振り込むことをしていなかったというのです。
私たちが投資をしているデトロイト市では、固定資産税の支払いは、2年以上、滞納しないと、競売にはなりません。
これだけの長い間、固定資産税を忘れているって、、、
と普通には思いますが、数は少ないですが、管理する側からすると、本当にいろいろな方がいるというのは、私も長年の経験で承知しています。
今回、投資家の方は、競売告知が来て慌てて市役所に連絡をしたが、時すでに遅かったということです。
今回の役所の滞納税は、大した額ではありません。そのため、競売落札スタート価格も、格安。
もちろん、他の投資家がウォッチングをしていて、結局、当方が希望するような価格で購入はできない可能性はありますが、首尾よく行けば、当ファンドにとっては、ラッキーな機会となり、今後も、管理している物件が競売にかかるようなら、定時ウォッチングをすることに意味がありそう。
普通に考えれば、競売案件は、通常は内見、立ち入りも困難、現状有姿で、細かい事前情報なしで落札することもあるわけですから、通常は、よほどの格安価格でしか入札をしないわけですが、当方は、いわば、「インサイダー情報」(といっても違法じゃないです)を持っているわけなので、他の入札者に比べると、圧倒的に有利ですね。
管理会社は、固定資産税や保険の支払い代行をしてくれないので、実物投資をされる方は、気を付けて!
こうした失敗投資家の方々も、本業が忙しくて、うっかり、という状況で、本業ではきっと優秀な方々なんだと思います。自分ですべてやると、手間はかかるけれど、リターンは高くなるから、と計算するのかもしれません。私自身、初期投資家の頃には、そういう考えを持っていました。
しかし、第一に、その手間を忘れてしまうのでは、本末転倒。
第二に、専業でやっている業者に任せることで、末端投資家がアクセスできないポートフォリオを作ることができるということもあるので、経費を払うことに意味があるかどうかは、そういう可能性を考え合わせたうえで、判断をするべきなのです。
私自身、本業を離れると、「うっかり」ということはよくあります。自分のキャパや本業の重み、ワークライフバランスなども計算に入れて長期的に何が可能かを考えていきましょう。不動産の場合、インデックスファンドと異なり、実際に現物を管理する人間、判断を下す局面、誰が修理をするかなど、あらゆる点を計算に入れなければいけません。単純に、経費が何%かどうかといった判断だけでは、現物投資はできないので、理想は、「自分自身がある程度不動産投資のリアルを理解し、その上で、経費を払って人にやってもらうことのメリットを判断できる」ところまでいくことです。
手前味噌になりますが、私たちのファンドのモットーは、
> 投資家様の手間をなくし
> 個人でやるよりリターンを高くする
こと。
過去に長らく、自分同様、不動産で資産を形成することが目標の投資家様のグループのリーダーをつとめてきた背景があり、とうとう、「自分がおすすめしたい商品」を作ることができたと思っています。
ファンドの詳細は、また他のブログ記事を覗いていってみてください。