Multi-family とは何か 米国不動産投資の盲点

アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログの中山道子です。

アメリカ不動産用語のご紹介

居宅不動産 residential real estate、居住用の物件
商業不動産 commercial real estate、オフィスや倉庫・土地、店舗、5室以上の集合住宅などすべて

居宅案件の場合、この二つの違いは、「5室以上かどうか」です。居宅物件の売買は盛んですが、商業物件は玄人しか手が出せません。8室のアパートと区分所有(マンション)にそれほどの差がない日本の常識と違うので、ご注意を。

2019年の今、日本では、普通のサラリーマンが、不動産投資に着手するのにハードルはなかなか高くなってきていますが、ほんの数年前までは、不動産投資経験のないサラリーマンが、マンションやアパートの一棟経営にいきなり乗り出す、なんていうことが、十分可能でした。

そのため、過去には、私も、「アメリカ不動産投資に着手するにあたり、集合住宅を買いたい、日本では、マンション一棟経営をしていて、細かい物件はやりたくないから」という問い合わせを頂戴することが、よくありました。

しかし、アメリカでは、実は、5室以上の集合住宅は、4室以下の集合住宅や戸建て・区分所有と全く別の扱いを受けています。

4室までは、レジデンシャル不動産、5室からは、商業不動産扱いとなるのです。

この具体的な違いの結果、米国人が投資をする際も、融資の引っ張り方が全く異なることになります。結論から言うと、レジデンシャル不動産のほうが、融資条件がずっとよく、素人向けのプロセスであるため、多くの米国人投資家は、商業物件投資に手を出す前に、レジデンシャル投資を始めるのが普通なのです。

どれほど違うかというと、普通の米国人が投資物件を購入するために、普通のレジデンシャル・ローンを取得する場合、2019年現在、2割程度の頭金が必要だとすると、商業物件を購入する際には、この倍くらいの頭金が要求されることが多いです。

また、レジデンシャル・ローンは、30年固定金利をはじめとするいろいろな長期返済方法が用意されていますが、商業ローンの場合、返済期間は、5年から最大でも20年とか、大変短いことが一般的なのです。この場合でも、返済額自体は、30年ローンの償却表を使ったりできるのですが、ただ、元本返済期間が、すぐ来てしまうわけです。

商業案件は、通常、金額も大きく、デューディリジェンス(事前調査)も、投資家が自分でできるベテランであるという前提。玄人さんオンリーです。業者さんも、普通の居宅案件を扱う業者さんではなく、商業専用のライセンスがあるレアルター( realtor 、不動産仲介の方のこと)さんにお願いすることになります。

このように、物件を買うのも大変であることの必然的帰結として、売る場合も、融資が取れる、または、多額の現金を持っている買い手を探す手間は、大変なものになります。

日本人が普通に米国不動産に着手する場合は、なので、それなりの金額を準備する場合でも、基本、レジデンシャル案件を選ぶことが圧倒的に多いということになります。

たまに、素人の日本人が、こうした事情をよく知らず、だめエリアで、5室以上の商業物件を、価格が割安だからと、現金で買ってしまうことがありますが、気を付けましょう。

この記事のまとめ

アメリカでは、物件が売り買いしやすいのは、4室までの居宅物件。経験があまりない遠隔投資家が、5室以上のレジデンシャル集合住宅に手を出してはいけません。

用語集

戸建て single family home/dwelling, SFH
二世帯住宅 duplex
三世帯住宅 threeplex
四世帯住宅 fourplex

5室以上住宅 multifamily housing, multifamily property

Photo by Darius Soodmand on Unsplash