米国連邦政府閉鎖!政府補助受給テナントさんがいる投資家はどうする?2025年11月速報

 

アメリカ不動産投資歴20年以上となりました中山道子です。

一大家からスタートしましたが、こ゚縁があって、現在、米国人の仲間二人と居宅不動産ホールディングを行うプライベート・エクイティファンドの共同経営に至っています。

私達の投資先は、デトロイト市なので、ここでは、どちらかというと低所得者層、政府補助を受けているテナントさんが、2025年11月段階でどのような状況にあるか、大家さんは、どう対策をするかについてのご提案をしたいと思います。

【この記事の要点】

政府閉鎖が2025年11月に予定される中、政府プログラム受給者向けに賃貸経営をしている大家さんが知っておくべきこと

 

背景

  • 2025年10月1日未明:連邦議会が新会計年度(FY2026)予算を成立できず、政府閉鎖発生。

  • 閉鎖の影響範囲:連邦職員の一部 furlough(無給休暇)、非必須プログラムの資金執行が停止。

  • 必須業務は継続(軍・安全保障・社会保障など)。

  • 住宅・福祉系プログラムは「一部継続・一部停止」扱い。予算残高や特別措置で数週間は支払い継続できるが、長期化すれば地方住宅公社(PHA)や州福祉局が資金不足に陥る

  • 11月現在も継続中。CBOによれば10月末時点で7〜14 billion USDの経済損失。

 

この中で、大家さんに直接関係するのは、いわゆる SECTION 8とも呼ばれているバウチャー。連邦予算に依存する家賃補助プログラムで、実施は、各州レベルで担当されています。

このバウチャーの問題については、10月以降、政府該当関係機関の閉鎖に伴い、情報発信が滞っています。そのため、長い歴史があって、しっかりとした活動をしているとして評価が高い法律系の非営利団体のガイダンスを参照することにしましょう。

こちらが、2025年10月3日に、National Houseing Law Project が、家賃補助に関わる実務家向けに出したメモランダムです。

Rights of Federally Assisted Residents during the Government Shutdown

要約(関連部分)

  • Section 8 Voucher/Project-Based Section 8:11月中旬までは既存契約資金で支払い継続。閉鎖長期化でPHAsが資金不足に陥る可能性。

  • USDA Rural Housing (Section 515/521 RA):1〜2か月分の支払い余力。契約更新不可のため、12月以降は一部物件で補助停止リスク。

  • Tenantsの権利:契約期間中は家賃増額・強制退去の法的根拠なし。滞納原因が政府の未払いである場合、連邦・州法で一定の救済手段がある。

  • PHAsとNonprofit Owners:基本業務は継続中だが、HUD職員の大半が待機中(furlough)のため、査定・更新・検査は遅延。

 

政府補助テナントさんの家賃滞納時の対策

 

11月中に政府閉鎖問題が政治解決しない場合、12月1日から、政府負担分の家賃が振り込まれない可能性が高まってきます。バウチャーは、通常、政府負担分がいくら、テナント様負担分がいくら、といった2つの振込や小切手で構成されます。

政府分が届かないのは、テナントさんの責任ではないので、例えば、家賃1,400ドル、テナントさん負担分が200ドルといった場合、テナントさんが、200ドルを振り込んでいる限り、強制退去の法的根拠とすることはできません。

政府分については、問題が解決すれば、滞納分が全額振り込まれる予定ですので、それほどの心配はありません。ただ、ローンがあるとか、銀行口座にあまり資金がないなどの方は、この期間中、必要な支出は、自己資金で資金繰りする前提で行動することが必要です。

 

フードスタンプのほうが問題

 

日本では、フードスタンプと紹介されているようですが、正式名称は、SNAP PROGRAM。これは、電子カードで、毎月、食料品購入のための補助が得られる仕組みで、低所得者層の中には、セクション8バウチャーとフードスタンプ両方を受給している場合もあります。

家賃自体は全額自己負担であっても、フードスタンプは受給しているケースもあるかもしれません。福祉受給資格があって、予算制限で、受給できていないケースなど様々なわけですが、このフードスタンプは、基本、入居時に、そのまま、所得として計上することはあまりしない反面、フードスタンプの受給が止まり、お金がとにかく足りない状況を迎えるテナントさんは、多く存在する可能性があります。

そして、このSNAP PRGRAM については、12月を待つまでもなく、すでに、10月の段階から受給困難な状況に陥っているのです。

これは、政権が、「SNAP PROGRAM 用の資金がないから支給を止める」と決断したことがきっかけでした。ただ、幸い、この問題は、11月初頭に裁判所の判決を得て、トランプ政権が、緊急資金を回すことに合意をしたことで解決を見るようです。

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SNAPプログラム受給者が、「資金が足りなく、家賃を払えなかった」という申し出を行い、事情が事情だけに、単純な取り立てをしても仕方ない、そういう状況ですので、この場合は、プログラム再開後、家賃の支払いが正常化するようであれば、この部分については、「つけ」にしておくことが最も現実的かもしれません。

そのつけはどうなるかというと、この部分はなかなか容易な回収は難しいですが、管理会社によっては、非営利団体や連邦の緊急補助プログラムなどがオファーされる場合に、それらの「つけ」をためておいて、テナントと申請をする、といった段取りで回収するような丁寧な会社も存在します。

私達のファンドでの賃料管理は、実際、そのレベルの気配りが可能であるため、例えばテナントさんは7年賃貸してくださっており、通常はちゃんと支払いをしているが、累積滞納家賃は、1,500ドル計上している、といったケースも存在します。

そうした滞納は、事情があって生じていることがあるということですね。直近ですと、コロナ期の収入減少問題がありました。こういうケースで、強制退去に出ても、問題の根本的な解決にならないと思われる場合、むしろ、将来、補助金申請で解決することができるかも、くらいの気持ちでいるということですね。

この層のテナントさんは、1ヶ月以上の滞納が生じた場合、毎月、50ドルずつ返済していくことくらいまでは可能ですが、一度にキャッチアップすることは難しいので、最終的には、回収できず、しかし、円満に退去するといったケースも覚悟する必要があるでしょう。

 

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