アメリカ不動産投資節税スキーム、税制改正後は、既存投資家も、利用禁止に

この記事の概要

アメリカ不動産投資を使い、加速的に減価償却を取り、日本の所得と合算する節税術が、令和二年度の税制改正大綱で封じられそうです。「すでに、節税のために物件を買っている人」についても、今後、節税術は、令和3年以降、使えなくなる形で改正案が提案されることが決まりました。


(1)個人が、令和3年以後の各年において、国外中古建物から生ずる不動産所得を有する場合においてその年分の不動産所得の金額の計算上国外不動産所得の損失の金額があるときは、その国外不動産所得の損失の金額のうち国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかったものとみなす。

令和2年度税制改正大綱(自民党・公明党)

 

アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログの中山道子です。

50過ぎて、最近の関心事は、一にも二にも、健康のことになりました。笑

一時、夜なかなか眠れないことがあったのですが、やはり、運動不足だったようです。若い時は、逆に運動なんかする余裕もなく、また、やらなくても、大した問題がなかったのですが、いまは、子供も、ティーンエージャーで、公園に連れて行かなければいけないような年齢でもなく、退職後のお年寄りのような生活。時間を作って運動をしないと、十分疲れないという「贅沢な悩み」に対面して久しいです。。。

ということで、現在は、1日2回、合計1時間以上、ストレッチやランニングなどをやるようになり、若い時のように、毎日7時間眠ることができるようになりました。

さて、本題です。

私自身は、「古い木造等を買って、減価償却を大幅にとり(5年に圧縮)、6年目に別の似た物件と買い替え、永遠に節税を繰り返せる」というこの投資術には、前から疑問を持っていました。

理由は、このように、節税対策のスペックという観点からだけ、物件を買うと、正直、投資自体としては、失敗することが多いからです。

現地の不動産業者さんに、「できるだけ古い木造を」「土地比率が特に低いやつを」なんていうと、「わざわざなんで?」と怪訝に思われるでしょう。こういうケースでは、物件が、周囲の物件に比べて魅力を増すことはほとんどありません。

例外は、急に人気エリアになり、土地自体が高騰する場合、または、豪華なフルレノベーションを施しなおして売りなおす場合です。前者の場合、割安感を求めて、「これから値上がりするエリアを探す」ことになりますが、それが実現するかどうかは、なかなか、難しいですし、後者に至っては、遠隔の片手間投資家が、行うようなことではないと、お断りしておきます。

他方、今回、このような形で、節税対策がだめになったことに対し、ショックを受けられている方が多いでしょう。

昨日の12月12日に大綱が発表になったわけですが、私も購読させていただいている税理士の見田村元宣先生のメルマガで、13日の今朝、さっそく「じゃあ、いま、こういう買い方をしてしまった方は、どうするか」という対策が提案されていましたので、見田村先生のご了承を取り、援用させていただきます。

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では、中山さんが海外不動産による節税をやっていた場合、

どのような対策が考えられるのか?

こんな方法を考えてみました。

〇 令和2年の年末に海外不動産を同族法人に売却する

・ 「短期」譲渡所得となり、売却益に課税されるが、約40%

→ 個人の最高税率は55%なので、一応のメリットはある

・ 法人で多額の減価償却費を計上し、節税する

→ 今回の税制改正は「個人」に対する税制改正

〇 法人には「長期」譲渡所得、「短期」譲渡所得という概念はない

→ いつ売却しても、売却益に対して通常の法人税が課されるだけ

→ 減価償却費の計上で得られる節税効果は単なる課税の繰り延べだが、

課税が将来に繰り延べられる効果はある。

※ 法人に移転することにより現地でかかる費用に関しては

考慮していません(地域によっても違うでしょう)。

もちろん、そのまま何もしないという選択もあるでしょう。

https://www.muryou-report.net/magazine/

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高額所得のサラリーマン、個人事業主であるようなクリニック経営のお医者さんのような立場の方にとっては、「日本の高額な個人所得税率に対し、ドカンと減価償却を合算するこれまでの節税」はもう無理になります。

高額所得者が、節税をするとなると、今後は、個人所得を高いままで節税をすることは困難になり、法人へと移行する方法しか残らないのかもしれません。

最後に、しばらく前に、私の顧客様からのコメントを頂戴したので、ご紹介しておきます。

アメリカで、不動産賃貸経営も行い、私の短期融資スキームもご利用いただいているK様

「2つの国の制度を自由自在に使いこなすには、いろいろなところに
気を使いすぎないといけないと思います。結果、本質からそれますね。
 本質的に、良い地域や不動産に適正に投資することが一番と最近思って
います。」

 

Kさんのおっしゃる通りだと思います。

この記事のまとめ

今後、「節税対策のために、古い物件を買う」スキームは、もう使えません。現在、そうした物件投資をされている方は、令和2年で、節税運用は終わりになる可能性が高いようです。

売却する際に、こうした特定プロフィールの物件の「日本人同士の中古市場」がなくなることで、期待していた価格では、売りにくくなることが危惧される場合もあるかもしれません。