この記事の概要
2020年2月の中古住宅販売件数が公開されました。2月の販売件数は、直近最高の2007年次以来の数となりました。
3月、4月は、掲載件数落ち込みと、それに基づく成約件数落ち込みが予測されます。
米国の月次統計は、理解しやすいように、年次換算数で表示されます。
2月の中古住宅販売件数が、577万軒だったという発表は、そのまま、600万軒近くの物件売買が2月に行われたということではなく、2月に売れた数を年次換算すれば、年率で、577万軒が売れたであろう、そういう数字が、2月に出た、ということです。
また、セールスには季節性があるので、毎月、年次販売件数の12分の1が売れるわけではありません。
伝統的に、11月から2月は、閑散期。
なので、2月の数字を比べるなら、3月や7月の数字、あるいは年次予測の12分の1の数字と比べるのではなく、過去の2月の数字と比べるべきなのです。
そのため、こういう数字は、
SEASONALLY ADJUSTED ANNUAL RATE
と表記されます。季節性を勘案した年次換算の数字です、という意味ですね。
つまり、今年の2月の販売件数は、過去最大、直近でいうと、2007年のバブル崩壊直前の2月以来のビッグな売れぶり、アナリスト予測の551万軒をうわまわる成果だったというプラスの発表なわけです。
全米不動産協会のエコノミストは、理由として、低金利と恒常的な需要過多を掲げています。
業界は、仲介手数料が利益に直結しますので、なにより件数ですが、零細個人投資家にとっては、販売総数より、価格の動向のほうが気になります。
価格は、去年の2月に比べ、8%アップ。どのエリアでも上がっており、好調ぶりを印象付けました。
The median existing-home price for all housing types in February was $270,100, up 8.0% from February 2019 ($250,100), as prices rose in every region.
2月中に売れた居宅の47%が、掲載1カ月以内に売れていますから、掲載価格が適正であれば、足は速いです。通常、掲載3カ月で売れることが、目標で、6カ月かかる場合は、停滞を示します。
現金売買の比率は、20%。投資家の比率は、これくらいのものではないかと推定されます。つまり、8割は、実需ですね。
3月4月は売り控えが予想されています。業界自体が対応に苦慮している状態で、スピーディーなやり取りはできないかもしれませんし、いい値が付かないかもという考えを持つオーナーもいるでしょう。
そのため、掲載件数減少に伴い、成約件数も減るでしょう。しかし、価格自体は、こうした自主的な調整が織り込まれるであろうため、需要は増えるばかり、金利も減少一本であることにも鑑み、値段の下落は想定しにくいというのが今の業界のコンセンサスです。
この記事のまとめ
2月の中古住宅成約件数は予測を上回り、価格も前年度比8%上昇を見ました。3月4月は、掲載件数⇒成約件数下落が予測されていますが、他方では、今の段階では、この市場の自己調整メカニズムの結果、価格は下がらないのではないかと考えられています。
記事の元となったプレスリリースは、下からどうぞ。