アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログ管理人の中山道子です。
今週は、コロナウイルスがらみのニュースをいくつかご紹介しています。
直近、中古住宅市場仲介業者さんの声を、下の記事でお届けしました。
さっき公開した今日3月20日の記事では、持ち家族につき、住宅ローンの返済滞納率が上昇する可能性や、それに対する対策が現在進行中で立てられ始めているという経緯をご紹介しています。
この記事では、居宅を賃貸している層について、取り上げます。
まだ、中長期的な影響がどのようなものになるかは、わからないので、今回の記事も、固い予測をするようなものではありませんが、現在、米国で、賃貸経営をしている大家さん向けの状況報告です。
この記事の概要
現在の米国の総世帯のうち、36.6%が賃貸。この層は、経済的な含み資産がほとんどなく、職業的にも、一番弱者である可能性が高いでしょう。
現在、円満な賃貸経営をしている大家さんに、コロナ関係で、賃借人の収入が途絶え、家賃が払えない、という連絡が入ってくる可能性は? その対策は?
調査によると、賃借人層の65%が、経済的に、居宅を買うことができないから、必要にかられて、賃貸しているということです。
8 Rental Statistics Every Landlord Needs to Know Today
中産階級の資産状況を見ると、明暗を分けるのが、持ち家族かどうか。結果論的な統計分析ではありますが、持ち家族は、賃貸族の90倍の資産があり、賃貸族の資産の平均は、たかだか、2,000ドル代に過ぎないという空恐ろしい格差があるのです。
Homeowners worth $197,349 more than renters, census study shows
やはりよく引用される、「米国人の6割が、緊急時の対策としての1,000ドルの貯金がない」という調査の結果も、この層の経済的な状況を示すものでしょう。
いわゆる LIVING PAYCHECK TO PAYCHECK(給与支払い小切手を貰ったら、次の給料が払われるまでに、すべてを使ってしまう状態を示す言葉)状態ですね。
米国GDPの7割が第三次産業ですから、この層の大多数は、カフェやレストランのウエイターや小売りのセールスなどの接客的な役割を担っているわけで、今回のCOVID-19で、多くの(大)都市で、学校のみならず、レストランや映画館、コンサート、スポーツゲームなど、あらゆる人の集まりができなくなり、失業給付の申請は、ここのところ、うなぎ上りとなっているという報告が、上がってきています。
State Unemployment Sites See Surge in Jobless Claims
この結果、ワシントン州シアトル市や、カリフォルニアの一部の都市で、いち早く、滞納に基づく強制退去を禁止する措置が始まっています。こういう行政介入に、賛成の有権者ばかりではないため、他の州では、まだ、様子見状態。
カリフォルニア州知事は、とりあえず、これらの市町村の動向に対しては、禁止しない、自治体ごとに、やりたければ、自己判断してよいという立場を表明しました。
Newsom did not issue a statewide eviction ban. Tenant groups say renters’ health could be threatened
さらに先進的なことに、ニューヨーク州では、全州レベルで、この措置が取られることになりました。この他、ロサンゼルスでは、普通の居宅ではなく、商業物件のオーナーに対しても、市長が、同様の禁止命令を出しました。
Mayor Garcetti orders moratorium on commercial evictions related to novel coronavirus
実際問題としては、どうでしょうか。
これまで、きちんと家賃を払ってきている実績があるテナントさんが、具体的な理由や根拠を開示し、COVID-19関係で所得が減少した、という風に申入れをしてきた場合、大家さんとしては、こうした決まりができなかったとしても、1カ月単位で、状況を見ながら、妥協点を探ることを検討する必要があるでしょう。
というのも、雇用が安定している高度なプロフェッショナルに高級な家を貸せている人は、いいかもしれませんが、ごくごく普通の人に、1,200ドルといった月額の家賃で家を貸している大家さんの場合、今のテナントさんに出て行ってもらっても、混乱が収まるまでは、他の、よりベターな人に入ってもらえる可能性は低いかもしれないからです。
不要に回転をさせれば、ペンキ代やカーペット代で、2、3か月分の家賃がなくなります。これに加えて、募集期間のダウンタイムもあるわけで、それ位なら、まじめなテナントさんに、家賃半額のオファーでもするほうが、良心的であるのみならず、問題解決の方法として、自己利益から見ても、現実的であるかもしれないわけですね。
一般のワーキング向けの賃貸経営をしているのではなく、いわば、少しロウワー層向けの賃貸経営をしている場合は、どうでしょうか。
この層を相手にしている場合、連邦政府支給の家賃手当(SECTION 8)を貰っていれば、ある程度安心できると思われるかもしれません。
ただ、政府補助を貰っている賃借人さんであっても、毎月の家賃のうちの自己負担分や、水道代電気代等の付随コストは、自分が払わないといけません。それらが止まる可能性は、常にあるので、うまく切り抜けられるとは限りません。
家賃の滞納がどれくらいの確率で生じているかについては、残念ながら、意味のある統計がありません。
今後、連邦統計局が、国勢調査で調査を始めると聞いていますが、今の状況を判断するには、用足らず。
このように、データが少ないため、賃貸経営をしている大家さんが、どれくらいの滞納ロスをかぶるものなのか、といった数字は、お見せできませんが、プラス要因としては、このブログをご覧の遠隔投資家様の多くは、ローンなしで、投資物件を購入しているのではないでしょうか。
その場合、数か月、賃料が入らなくても、ローン返済が滞ったり、給与所得等から、補填をする必要が生じたりといったことはあまりないわけです。
この流れが、中古物件市場において、購買意欲に冷水を浴びせかけるところまで行けば、今、物件を売ろうと考えられている方にとっては、短期的に、向かい風になる可能性はあります。例えば、日本在住者として、今後、日本国内で、海外不動産の加速減価償却法が使えなくなることを見越して、今年物件を売ろうと考えているような方ですね。
今、私達にできることはワシントンで議論されている国民向けの現金給付策が、問題の鎮静化に資する規模のものであることを祈ることくらいかもしれません。
この記事のまとめ
賃借人層は、米国経済の最大の弱者、COVID-19騒動で、失業対策がもっとも必要な層。賃貸経営で、この問題に行き当たった際には、まずは、最新の法令を調べ、管理会社さんとよく相談をし、冷静に対策をしましょう。
強制退去手続きができる場合でも、この問題が沈静化するまでは、様子を見ることに意味がある可能性もあるでしょう。
まずは、現金給付に絡んだ連邦レベルの政策動向に、ご注目を。政府の現金給付支給決定目標は、まずは、2020年3月23日月曜日(米国時間)です。これがスピーディーに決まれば、4月1日の家賃が、4月中に振り込まれる可能性が高まります。