アメリカ人の一戸建て信仰は、相変わらず!

アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログ管理人の中山道子です。

この記事の概要

米国では、依然、「大多数のアメリカ人は、庭付き一戸建てを好み、集合住宅がOKなのは、仕事上のニーズに基づき、それ以外にオプションがない場合のみ」なんだそうです。

オンライン不動産仲介会社、REDFIN社のリサーチに基づく、米国人の一戸建て信仰ぶりを紹介します。

人口密集度の高いアジアでは、集合住宅のメリットが政策的にも強調されているかと思いますが、米国では、「郊外の白いフェンスのある家」に対するあこがれが圧倒的。

それに対し、初心者の遠隔投資家は、狭い意味の投資効率から、「二世帯住宅を買って、二つの部屋を賃貸に出せば、空室リスクも半分になるし、利益率も高まるな」などと皮算用をしがち。特に、日本の都市部で木造アパートや、小さめのマンションを稼働させている方は、同じ戦略をと考えるわけですが、現地で、不動産業者さんに相談されれば、以下の実感が返ってくるでしょう。

◇ 二世帯や四世帯住宅は嫌われるので、結局、経営はそこまで安定しないかも
◇ 投資家しか買わないから、値上がり率も一戸建てにはかなわないですよ

今日は、この点について、オンライン専門のディスカウント不動産仲介会社であるレッドフィン社のブログをご紹介します。

同社が1,400人に対して行ったアンケート結果や、ウエブサイト内サーチの履歴が詳細にまとめられており、大変読みごたえがあります。

Millennials Still Want Single-Family Homes, Even if it Means a Long Commute

レッドフィン社の結論は、以下の通り。

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◆ 他の条件が同じなら、ほとんどの人がマンションより一戸建て好む
◆ 居住コストが高い大都市では、マンションOKの人の比率が高まっている
◆ 居住コストが低めの中堅都市では、一戸建て志向が高まっている
◆ ミレ二アル世代も一戸建て志向は変わらない

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どうしてレッドフィン社が自信満々に米国人一戸建て信仰を語るかというと、同社が「同じ居住面積や条件の一戸建てとマンション(区分所有)の価格差を比べる」ことをしたから。

調査時期は、2013年から2019年にかけて。

期間中、「ある都市内で、同じ間取りの一戸建てとマンションの価格を比べ、その差がどれくらいか」を調べるわけです。このことにより、買い手が、一戸建て物件にどれほどの魅力を感じているかが評価できるという考え方ですね。

そうすると、何と、大都市では、この「一戸建ての割高度」は、存在するものの、この6年間で、下がっていることが分かりました。

レッドフィン社の上の画像をお借りしてしまいました。

例えば、ロサンゼルスでは、2013年の段階では、「同じ間取りの一戸建てVS区分所有」を比べると、一戸建てのほうが、25%価格が高かったのに対し、2019年の段階では、この価格差は、19%にまで縮小。

同社の考え方によると、これは、「どうしても一戸建てが欲しい人は、都市部から出ていく」から。

仕事が理由で、引っ越せない人は、「仕事に便利なところに住むことを優先し、割安のマンションで我慢することも多いからだろう」というわけです。

その結果、大都市では、一戸建てへの絶対的こだわりより、予算や条件に合った物件を買う考え方が優先しだした。こうなると、一戸建ての需要は相対的に低まり、区分所有の需要が相対的に高まります。そこで、価格差が解消する方向に向かうわけわけです。

この大都市のデータだけを見ると、「ということは、アメリカ人が一戸建てに固執するという前提自体が崩れてきているんじゃないか」、と思いがちですが、これに対し、中堅都市を調べると、なんと、一戸建ての価格は相対的に上がってきているのです。

その結果を示すのが、下の図。

 

例えば、ヒューストンを見ると、2013年には、一戸建ての割高率は、9%に過ぎなかったのが、なんと、2019年には、価格プレミアムが、倍以上の19%になっています。

全米レベルでこれを計算しなおすと、2013年から2019年まで、基本、一戸建ての割高率は、15パーセントで、安定しています。

大都市では、一戸建て志向が弱まった反面、中堅都市で、一戸建て志向が強まり(大都市からの転入組?)、全米レベルで計算しなおすと、結局、一定して一戸建て志向が健在、というわけです。

レッドフィン社が1,400人の自宅購入希望者に対して行ったアンケートを見ると、なんと、9割が一戸建てを好み、通勤時間が長くなっても、3世帯住宅なんかには住まない!と回答しているんだそう。年上世代と消費傾向が違うといわれることのあるミレ二アルも、この点、足並みをそろえているそうです。

米国の住宅の平均建築年数は、36年という数字が出ていて、小規模建築は基本、木造ですから、よく考えてみれば、家族持ちが、40年近く前の木造アパート暮らしを、「絶対避けたいだろ」と思うのは、人情とも言えますね。

この記事のまとめ

投資家として賃貸物件を経営する場合、以下の結論が導かれるかもしれません。

◆ 大都市では、マンションでもOK
◆ 中規模都市では、区分所有より、一戸建てのほうがやはり値上がりする
◆ 小規模の複数世帯住宅の賃貸経営は、大都市でない限り、避けるのが無難

街の不動産屋さんの言っていることは、正しかったですね。データで検証してみました。