MTMA ファンドジェネラル・パートナーの中山道子です。
今日は、興味深いご質問がありました。
【現在、米国不動産は、買い時とは言えないのに、中山さんのファンドは効率的な物件取得に動けるのですか?】
というご質問です。
回答はイエス、理由はいろいろな形でできますが、端的には2つ。
■ デトロイトは、TIER 3(グレード3)と呼ばれる米国都市群内では、まだまだ未発達であるため。
■ その中でも、私達はプロのスキルセットがあり、要修理物件(VALUE‐ADD)物件を見ていくため。
TIER1の例は、ニューヨークやロス、シカゴ、ボストンなど、すでに昔から発達し、人口密度も高いようなエリア。
TIER2の例は、発展が見られるテキサスのオースティン、デンバーのような、これから、TIER1に届くポテンシャルがあるエリア。
そして、TIER3が、いわば、デトロイトやボルチモアなど、人口も100万人以下で、成長の可能性が限られていると考えられる都市群。不動産価格が絶対上昇しないというのでもなく、ネバダのラスベガスやフロリダのオーランドも、TIER3と思われてきました。
デトロイトは、TIER3の中でも、人口流入の可能性も低く、都市部は、2008年の大恐慌で荒廃し、今でも爪痕が所々に残っています。
しかし今後衰退する一方というわけでもなく、人口減少は限定的で、自動車産業や最近は自動車産業に関連するテック関係の産業やどこでも成長が著しい医療セクターも存在しています。
また、例えば成長機運は転がっており、アラブ系アメリカ人の人口が大変増えているため、このエスニック・グループの方々が好むディアボーンやディアボーン近くのデトロイトの物件は、年率10%といった値上がりをしています。そのため、機会は色々ある市場で、これに対し、日本人により馴染みが深い、すでに成熟したTIER1の市場で同じ趣旨のファンドはほぼ魅力がないでしょう。
米国人は確かにDIYタイプの方が多いので物件を買う際には、多少の要修理物件は当然と認識していますが、賃貸ストックについては全くセグメントが異なり、また、今は、共働きが普通なので、お子さんがいる御夫婦が物件を購入する際には、修理不要物件は、より高いというのは当然認識として共有されます。
台所のような重要な場所が要修理の場合は、銀行の融資が下りないケースも多いので、本格的なバリューを持つフィックスアップ物件を購入するにはキャッシュを用意する必要も多く、仕事がきちんとあるカップルが手を出すようなことではなくなりますので、ここらへんは、一般的な個人レベルでできないケースのほうが多いでしょう。
要修理といっても、
COSMETIC、つまり、壁を塗り替えるとか、キッチンキャビネット全面取替え
それ以上の中級修理、屋根の張替え、電気系統のやり直し
GUT REHAB、下手をすると土台の補強から始まるような全面修理
といろいろな段階があり、DIYグループは、通常は表面的な部分が多いわけです。
下は、6190 HARVARD案件の車庫の屋根部分。購入後、車庫と母屋の屋根の修理まで行い、それでも、購入後なんと2ヶ月でテナント様が入居しました。
車庫の屋根、修理前
車庫の屋根、葺き替え後
このように、ロケーションのいい物件を再生する都市再生事業。デトロイトのような三次市場でこそ、需要があり、有名デベロッパーによる新築物件もできないような場所であるため、社会的ニーズが有るというわけです。