誰もが、投資を学ばないと取り残されるようになった理由 

「アメリカ不動産投資で資産倍増中!」ブログの中山道子です。

この記事の概要

本業・副業での所得アップに励むほか、投資の勉強をすることが、今や、マストとなった理由を解説します。

昔は、働いていれば、給料が上がる、という期待があって、投資は、多くの人にとって、それほどの重要性はなかったのかもしれません。

現在、グローバル化や AI 化の進行により、普通にしているだけでは、賃金が上がりにくい構造になってしまいました。

少子高齢化のため、国民年金の減額はやむを得ないだろうと思われる他、企業年金についても、確定拠出型タイプは、自分で運用・管理しなければいけません。

こうした中、私達の親世代は、「本業に精を出していれば、お金はなんとかなる、あとからついてくる、誰かが認めてくれる」という態度でいればよかったわけですが、現在の勤労世代は、頭一つ抜けたければ、それだけでは、不十分となってきたことを前提に行動する必要が生じています。

私の親は、ウン十年、同じところにお勤めをし、年金生活はそこそこリッチでした。その間、不自由ない生活をさせてくれた両親には大変感謝しています。

恵まれた生活を経験できた場合、誰しもそうかも知れませんが、私も、「親が自分にしてくれたこと」を、自分が、子どもにしてあげることのベースラインとして考える癖がついています。

一つには、大学進学費用を全面負担してくれたこと、好きな進路を選ばせてくれたこと。

また、より小さい頃を振り返ると、「バイリンガル、マルチカルチャーに育ったこと」(国際転勤族だったため。母の方針で日本人学校はあっても行かなかった)やいろいろなお稽古・体験をさせてくれたことが、印象に残っており、子供に対しても、似たような機会を与えることができて、ホッとしています。

しかし、考えてみると、父は、祖父に比べると、大出世しました。他方では、私は、、、到底、父に比べ、出世したといえません。せいぜいで、「父が私の年齢だったときに準じる経済状態」程度でしょうか。(賃金がなくても生計が成り立っているという点からすれば、上、社会的地位や年金という観点から比べると、下)

実際、統計を見ると、昨今では、「親世代より上に行ける人間」の比率というのは、下がっています。アメリカの場合、

1940年台に生まれた人が、親世代より多く稼ぐ確率は、90%だった。1980年に生まれた人が、親世代より多く稼ぐ確率は、50%。

しかも、低所得者層、特に黒人について見ると、この確率は、更に下がる。

https://www.opportunityatlas.org/

これを、intergenerational mobility (同一家族内の世代格差)の問題と呼びます。米国で格差を見る場合に、必ず、挙げられる指標の一つです。

グーグル・サーチだけで見ると、日本では、この問題、これといったデータ分析がされていないように見えますが、ひとり親(いわゆるシンママ)の貧困が先進国間で比べても突出しているといった指摘、「格差社会から階級社会へ」(橋本健二早大教授)といった標語が掲げられているところを見ると、日本も、この点、米国型社会になっているのではないでしょうか。

過去にも貧困はありましたが、「貧困家庭に生まれたが、9割の人間が、親より生活が向上する社会で生きていく」のと、「貧困家庭に生まれ、自分の社会的地位が、親のそれと比べて、改善する見込みがないことがほぼ確定している境遇」とを比べれば、違いは、自ずと、明白です。「希望格差社会」(山田昌弘中央大学教授)ですね。

どうしてこうなってしまうのか。現代の我々だって、仕事に打ち込んでいるのに、どうして、所得格差拡大傾向にストップがかからないのでしょうか。日本でも、米国でも、過半数は、親世代より教育レベルが高いのですから、親に比べて、社会的地位や所得が、上昇してもいいはずなのですが、そうなっていません。

こういうと、「問題は、社会が前のように急成長していないからだ」という話になりがちですが、実は、貧困研究の第一人者、RAJ CHETTY ハーバード大学教授らは、問題は、成長がないということではなく、分配(の欠如)であると主張しています。

1940年、50年台の GDP を前提に、現代の所得格差比率を当てはめるシミュレーションを計算してみると、当時の子どもが成長して親の年収を凌駕する確率は、9割から62%に転がり落ちることがわかった。

逆に、現代の所得分配率を、40年台に生まれた子どもの家庭状況に当てはめてから、その子がおとなになったときの年収がいくらになるかをシミュレーションしてみると、実に80%が親の年収を超えることができるだろうという結果となった。

When we simulate an economy that restores GDP growth to the levels experienced in the 1940s and 1950s but distributes that growth across income groups as it is distributed today, absolute mobility only increases to 62%. In contrast, maintaining GDP at its current level but distributing it more broadly across income groups – at it was distributed for children born in the 1940s – would increase absolute mobility to 80%, thereby reversing more than two-thirds of the decline in absolute mobility.

The Fading American Dream: Trends in Absolute Income Mobility Since 1940

米国の場合は、この背景には、歴史的な人種差別等複雑な問題なんかも存在しますが、この記事で取り上げたい原因の一つ(多くの国に共通)は、労働分配率の低下。どこでも、企業が儲かった時、それを給料アップという形で還元する仕組みが、機能しなくなっているのです。

労働分配率、43年ぶり低水準 17年度66.2% 人件費抑制鮮明

それでは、どうして労働分配率が低下しても、みんなが我慢しているかというと、多分、「あまり高くなる場合は、外に出ていく」(グローバル化)や「あまり高くなる場合は、AI を導入するほうが安くなる」(オートメーション)から。労働組合(組合加入率はどんどん下がってますが)には、大した交渉のカードが、ないわけです。

ただ、非熟練のサービス・セクターは、海外に行きようがないので(コンビニの従業員など)、最低賃金を上げることも、それなりに効果があるはずで、実際、米国では、最低賃金を引き上げることで、それなりの数の都市で、ある程度成果が出ています。また、最近トランプ政権が南米等から来る違法就労者に規制をかけていることが、最低賃金レベルまたはそれ以下で働く人の賃金アップをもたらすという指摘も広まり始めました。

Yes, Immigration Hurts American Workers

Trump’s claim that black Americans are hurt most by illegal immigration gets pushback

米国のみならず、日本政府だって、国民の大多数がどんどん下層化すればいいとあえて思っているというわけではなく、一応、官製春闘とか、最低賃金引き上げとか、やれることは、やろうとしているのだろうと思いますが、アベノミクスの主たる目標を見ると、

GDP の成長 ⇒ 再分配や賃金アップが伴わないかぎり、フツーの人の所得はアップしない
インフレ率2% ⇒ フツーの消費者、年金生活者には、マイナス
円安 ⇒ フツーの消費者は、物価が高くなるだけで、マイナス

など、ビジネス優先の考え方で、普通の人には、メリットが出にくい経済政策がメイン。

最優先順位がついたのは、日銀の異次元緩和。

これは、日銀が、「お金を刷って、それを用い、国債やETF を購入、株式市場を底支えする《金融緩和》と呼ばれる政策」で、今回、歴史に残る規模だったため、「異次元レベルの金融緩和」ということで、「異次元緩和」と称されています。

しかし、実際には、「異次元緩和」がなんだか知っているかと言われて、最新の日銀調査においては、聞いたことすらない言葉だと答えている層は、実に35%、実際にメリットがあったと感じる庶民は、どこへやら、と海外メディアに揶揄されています。

400兆円供給した日銀の異次元金融緩和、笛吹けど庶民は踊らず

英語の原文のほうが長いので、そちらもご参照。

$3.5 Trillion Cash Injection Changes Little for Ordinary Japanese

公共事業や公的扶助に投入される政府資金と違い、日銀のこの資金は、株式市場にしか投入されていません。

しかし、日本人の1割しか、株式市場に投資をしておらず、そのうちの一部は、国債のみ、という人もいるわけでしょうから、この「黒田バズーカ」(異次元緩和の別称)で直接恩恵を受けたのは、結局、多分、

> 株式や不動産市場に投資をした人
> アッパーな上場企業関係者

だけだったわけで、調査回答者の3割しか、その内容を理解していないと回答したのも、当然だろうと思います。( 不動産関係の株式も買われたので、不動産市場にもお金が回っています。)

この本来の目標は、インフレを誘発することだったはずなのですが( 【講演】 「量的・質的金融緩和」と経済理論)、目標である2%は、達成できませんでした。

GDP を成長させ、インフレを誘発したいだけなら、間接的に、波及効果が限られる株式市場にのみ、資金を注入をする遠回りな方策ではなく、フツーに、直接、国民にばらまけばいいのに(ベン・バーナンキ元連邦準備銀行理事長ら主張)、

To fix the economy, let’s print money and mail it to everyone

それは、反対多数で、絶対実現しなさそうという、、、

ググると、反対の理由は、インフレを誘発するから、というロジックだったようですが、え、それが、政権の悲願だったのでは?、

麻生財務相、「ヘリコプターマネー」の導入を否定

構図は、米国も、全く同じ。

民主党政権下でも、株式市場への資金投入はしましたが、そのバラマキは庶民へは及ばず(例えば、株式に投資をできていなかった層を助けたはずと思われる住宅ローン元本減額対策は導入されませんでした)、所得再配分にも着手しなかったため、所得格差は、拡大しました。

アメリカでも、人口の全員が株式投資しているわけはなく、大体5割から6割。意味のある株式投資をしているのは、結局は、人口の2割程度のようです。Net Worth of Households: 2014, U.S. Census Bureau

つまり、株式、不動産に投資をしている人やビジネスばかりが、資産を増やしたが、そうでない人は、単に国債発行(借金)のつけが回ってくるだけで終わるわけです。

今後、インフレになれば、年金は、目減りします。日本も、米国も、借金は大きいですから、年金を減額し、しかも、年率2%程度のインフレを毎年起こすことで、将来的に支払わなければいけない年金の価値を目減りさせることが、年金制度を長期的に維持させるための目標でもあるのだろうと思います。

こうなると、インフレ以上に投資リターンを叩き出せる人のみが、セーフ。それ以外の人は、給与所得(もう伸びない)や貯蓄・年金(インフレに比例して、毎年、目減りしていく)だけでは、ジリ貧です。

そもそも、投資をする人には、税金の優遇がたくさん。

例えば、米国での投資不動産のキャピタル・ゲイン税率は、連邦で通常15%、保有期間1年で該当します。日本の株式譲渡益課税は、今、一律で20%。どちらの国でも、こういった投資所得の税率は、500万も稼げば税率20%台になってしまう労働収入のそれより低く、そもそも、確定=売らなければ、課税されません。

ことほどさように、投資というのは、働くより断然、効率がいいわけで、しかも、それは、量的緩和が政策として確立するずっと以前から、そうだったというわけです。(トマ・ピケティ「資本の成長率は、労働によって得られる賃金の成長率をつねに上回る」

ある意味、大変いやなカラクリです。

一応、この間にも、投資をする人と、それどころではない人の格差が拡大し続けることで、社会はますます不穏になってきていて、米国では、経済界の重鎮は、次々、「基本、今がいいんだけど、ただ、ちょっとは、所得再配分しないと、流石に、まずいかも、、、」と言い出しています。

直近は、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン氏。(ダイモン氏、富裕税は問題なし-金持ちには「もっと払う余裕ある」

商売だって、消費してくれる層がいなくなったら困るわけですから、あまり貪欲になりすぎると、金の卵を生むガチョウが死んでしまいます。米国の財界は、そろそろ、その極限に来始めているという認識になりつつあるのだと感じます。

しかし、本来、ボトムアップの政治プロセスから生じるべきこのような提言は、「お金がかかりすぎる政治」プロセスの中では、政界内では、「政治的に左すぎる」と思われている人からしか、聞かれないという、、、

いろいろ話が広がってしまいましたが、私達一人ひとりが、よりよい社会を目指し、社会改革や政治に参加することは、十分可能です。

ただ、現実的に、投票に行くことで変わることは、限られます。

こういう中、生活防衛をしていくとすれば、「環境への適応」が必要。

今の時代、庶民は、どうやったら、生き残ることができるのだろうか?

ライフスタイル編
★ 株式市場に上場している大企業の正規雇用や専門職を狙うなど高所得を目指す
★ ビジネス起業で成功する
★ 週末起業や副業でサラリーにプラス・オンを狙う
★ 夫婦は、共働きを目指す
★ 海外に出て所得アップする可能性がある人なら、移住も検討
★ 節約やライフハックで生活費を落とし、貯蓄を増やす
★ 英語・中国語やプログラミング等付加価値の高いスキルをつけ、実力を蓄える
★ 自分の価値を評価してもらえる隙間(ニッチ)を探していく

投資編
★ 不動産でも株式でもいいので、投資、経済、税金の仕組み等を学び、実践していく

上は、私が思いついた「これから頑張れること」の一部に過ぎず、また、どれもが、全員に当てはまるわけではありません。

例えば、私が、今からコンピューター・プログラミングを学んで稼ごうとしても、ちょっと、きつい気がします。そもそも、中国のように、あまりに多くの人が、プログラミングを勉強してしまうと、その有効性も落ちるかもしれませんので、なんでも、字義通りということはなく、自分なりのポジョションがあることが大切なのだと思います。

他方、私個人が自分のこれまでを振り返って「よかった」と感じるところは、投資を学ぶことで、自分が現場にいないと生計が成り立たないという状況を改善できたこと。ロバート・キヨサキ氏のいう従業員や自営業クアドラントから投資家クアドラントへの転換ですね。

私はシングルマザーなので、子どもと過ごす時間を作るために、こうなりましたが、女性としては、キャリア志向が強かったので、これがなければ、65歳、70歳までのフルタイム就業ライフ(サラリーウーマンとしてであれ、経営者としてであれ)に何の疑問も持たなかったかもしれません。そして、お勤めをしていたときは、投資の勉強なんて、本業に打ち込まない人がする「品のない趣味活動」くらいの認識しかありませんでした。これは、多分、当時、親世代のメンタリティーを継承していたのでしょう。

現在、通勤電車に揺られる必要がなくなり、三食自分たちで食事を作って親子で食べて、昼寝したければ昼寝する、という「三食昼寝付き」ライフが実現できたのは、投資の勉強のおかげ。また、自分のポジショニングとしては、ニッチすぎる「1)アメリカ不動産に2)外国人として3)投資をする」というアングルがあり、ターゲットを絞ったため、その守備範囲では、わりあい、実績が積めてきた気がしています。

ちなみに、この前、SNS経由で、自分の人生に満足できるかどうかは、自分がいろいろなことを好きなように決められるかどうかで決まるのではないかという興味深い調査を教えてもらいました。

所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる 2万人を調査

そう言われてみると、私の父は、私達の教育や子育てにはあまり関与できていない典型的な「昭和の父親」でした。

私の母は、転勤族の父に帯同する専業主婦生活の中で、社会参加の機会は限られ、大学教育もあり、外交的なタイプだったために、時には、相当なフラストレーションを溜めていたことも思い出します。

両親どちらも、家族生活を成立させるために、相当な我慢をしたのだと思いますが、私自身は、受けた教育を活かす機会も、子どもに手をかける機会も、ある程度、持てている気がします。また、リテラシーやライフハック・テクが飛躍的に増したことで、将来や老後に対する漠然とした不安も、そこそこ、払拭することができるようになりました。

ここまで来るのに、順風満帆だったとは言えません。15年位かかっています。しかし、人生は長いのですから、振り返ってみると、一瞬ですし、逆に、まだまだ、先は、更に長いのです。

この記事のまとめ

現代において、誰もが投資を学ばないとジリ貧になっていく構図を、私なりに理解し、ご説明をしました。

先進国は、どこでも、インフレ率や金利が低く、特に、日本では、インフレ目標である2%すら達成できていないといいながら、世間の人の体感温度的には、物価上昇は、公称インフレ・レートを大きく上回ります。

例えば、2019年4月日銀アンケート結果を見ると、回答者は、この1年間の間に、平均で4.2%の物価上昇を感じているのだそうです。

対策として、この間、食費に対する支出を増やし、外食と旅行は控えるようになったというのは、まさに、「緊縮家計状態」を感じさせます。しかも、教育や医療費のように、控えることがより難しいアイテムは、もっと、バリューを得るための値上がり感が高いのではないでしょうか。

給与所得や低金利の貯蓄だけでは、この「物価上昇に対する不安」「生活水準の相対的劣化の恐れ」は払拭できません。

しかし、投資を学ぶ努力を、コツコツとしていくことで、より主体的に、10年後、20年後をより明るくしていくことができる可能性があるのではないでしょうか。

最後は営業になってしまいますが、「自分がこの中で学んだこと」を、お伝えしていきたいという気持ちがあり、今回、単なるテクニカルな側面だけではなく、マインド的なことも合わせ、「1年間の期間を用いてご一緒に考えていくためのオンライン投資塾」をご提案させていただくことにしました。ぜひ、ご検討ください。

関連企画として、

無料 ZOOM ミニセミナーを2019年4月20日、21日

に開催しますので、まずは、そちらに、参加登録してみてください。