アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログの中山です。
今日は、アメリカで用意されている節税対策である「テンサーティーワンエクスチェンジ」《1031 Exchange》について、ご説明します。このスキームが有効である方と、そうでない方がいますので、特に日本在住の方はお気をつけください。
1031 EXCHANG というのは、節税対策で、それが定められている IRS 条項が「Secion 1031」という条項なので、そこから、この名前が来ています。
日本でも、むかあし、「買換え特例」という制度があり、「既存の不動産を売却する際に、別の不動産に買い換えると、譲渡税が繰延になる」という仕組みがあったと聞いた気がします。産業振興のためですが、今は日本ではそれがないようですね。
米国では、現在でもこの特例が生きており、基本、「同等か大きめの額の物件への買い替え」ができれば、キャピタルゲイン税が繰延できます。
永遠に(というか何回も回数制限なく)買い替えすることも可能。
ちなみに、もともと、自宅物件であれば、一人に付き、25万ドルまで、キャピタルゲインは免税されます。(夫婦なら50万ドル)
これが、投資物件の場合、短期キャピタルゲイン税は、1年以内の売却なら、自分の所得枠に対する税率が課され、1年と1日以上なら、これが、原則、一律15%となります。
それに対し、エクスチェンジを利用することで、この投資物件用の課税を当面回避し、税金を払わなければいけない分を投資に繰り入れることが合法的にできるので、大変便利な税法ですが、いくつかの注意事項があります。
1031エクスチェンジのルール
専用エージェントを使い、売却資金はエスクローにホールドし、自分名義の出し入れ可能な銀行口座には置きません。同日決済は難しいので、最大45日以内に次の購入物件住所を、事前報告する必要があります。この時は候補でよく、最大3件までリストアップしていいのですが、最終的には、180日以内にこれらのリストアップした物件のどれかまたは全部を購入しないといけません。
個人名義のみならず、LLC等会社名義でもOKです。ただ、売却物件より大きめの価格の物件買う事が必要なので、基本、融資を組むことが想定されると思います。なので、新設のホールディング用だけのLLC名義で融資が組めないなら、LLC名義でのエクスチェンジは出来ないということになるケースが多いでしょう。
例えば、「10万ドルの頭金を投入し、ローンを組んで購入していた40万ドル」の物件を売る際に、「もうローンは組みたくないので」といっても、30万ドルの物件をキャッシュで買うのでは、通常、条件を満たしません。ここらへん、前の物件で減価償却をとって、ベースの評価価値が下がり、また、値上がりをしているといった複数要因を計算に入れて、エージェントが、「これ以上の価格の物件を買ってください」と説明してくれるかと思います。
米国在住者にとっては、手間はかかりますが、意味がある制度で、自宅の売却益が大きい時、例外的に、利用できる場合もあるようですので、色々調べてみるといいでしょう。
他方、
日本等、米国以外の管轄地に居住中の投資家にとっての注意点は、「これを使っても、自国では、全く節税にはならない」ということ
個人名でこれを行っているとすると、つまり、売却した段階で、日本では確定申告が必要ですので、その段階で、キャピタルゲイン税を日本の税率に基づいて払うことになります。もし、米国内で、1031エクスチェンジをしなければ、まず米国に申告し、納税、日本にも同年申告し、米国に納税した分を控除して差額が日本納税、という形になるわけなのが、1031エクスチェンジをすると、納税はすべて日本ですることになり、米国で節税したのが意味がなくなります。
また、米国居住でビザがない外国人が、会社名義で、不動産融資を取ることは不可能に近いと思います。
ただ、「外国在住外国人投資家」が米国人同様にメリットがあるのは、香港やシンガポールなど、「海外投資に課税しない国」に居住している場合。ヨーロッパやオセアニアなどの多くの先進国では NG なこの行動、アジア諸国では、多く、「自国外では課税しない」傾向があることの恩恵が受けられます。
こういう国に居住している場合、1031エクスチェンジをしても、居住国課税当局には挨拶なしで構わないというのが私の理解です。
最後に、「そうはいっても、ばれないだろう」などとは思われないでください。
日本を始めとした主要国では、米国との間には、必ず、課税条約があり、それに基づき、課税情報を交換しています。米国で、日本国籍のパスポートを使い、納税をすれば、数年のタイムラグがある可能性はありますが、最終的には、日本税務当局から「あのー、アメリカで物件売りましたよね?」と、連絡が来ます。
この記事についてのご注意
私は税理士等の資格はなく、一般論的なご説明を投資家的な観点から行いました。また、掲載当日、2021年10月25日以降の税制変更がある可能性があるので、ご自身で別途有資格者やエージェントにご確認をされてください。
日本居住者の米国申告については、下の記事やYOUTUBEビデオもご参考になさってください。
https://usa-rei.info/double_taxation/
IRS の該当条項は、下から