アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログの中山道子です。
日本の会社名義で直接現地に投資ができるか。
結論から言うと、「不可能ではないが、小規模投資家レベルで無理をして行うほどのことではない」です。下でより細かく見ていきます。
日本の会社が儲かっているけれど、利益を、個人所得として計上した後に、米国投資をすると、なんだか税金が二重に取られる。日本の会社名義で直接海外投資できないものかなあ。
理解できるセンチメントですが、実は、米国側には米国側の事情があります。
米国で不動産投資をする場合、米国側の現地コンプライアンスの問題で、投資名義人は、納税者番号を取らなければいけません。
日本の会社の資産を使って米国投資をする方法としては、主として以下の2つの方法がありえます。
第一には、そのお金を出資に使い、現地に米国LLCなどを設立して、米国法人として、納税者番号を取得する方法。
第二が、外国の会社の支店として現地で納税者番号を取得する方法です。
日本の会社名義で投資をする場合は、正式に日本の会社の支店を設立し、その支店が納税者番号を取得する方法が一番、日本の観点からはこのニーズにマッチしているかもしれません。
しかし、そうすると、何が起こるかと言うと、第一に、ペーパーワークが結構たいへんです。例えば、日本の会社の定款を英文訳したりですね。設立の手数料も、それなりに掛かると思います。
更に問題なのが銀行口座の取引開設。
現在の米国の銀行は、KNOW YOUR CUSTOMER(顧客のプロフィールを掌握し、マネロン等の問題が生じないようにデューデリを尽くす義務)があるため、少しでも面倒な外国人相手の取引はしたがりません。個人レベルで行う海外の会社の支店の開設なんか、普通の銀行では、取引拒否されるため、不動産投資をしても、家賃を回収する口座すら、開設できないでしょう。
例外として、日本の会社のことをよく知っているハワイで支店を設立し、ハワイの銀行で口座を開設することは可能です。
ただ、ハワイの銀行は、レスポンスタイムが遅く、例えば送金指示をする場合は、郵便で銀行に指示書を送り、それが届いてから確認の電話があり、最終的に、第三者に振り込みをするのに、2週間近くの準備期間がかかったりします。
ある意味、信用を大切にしているのですが、不動産売買のように、いきなり「明後日、振り込まないと」といった用途には、使い勝手が悪いです。
まあ、ハワイの銀行での数年の取引後には、信用ができて、他の大手銀行での口座開設が可能である可能性もあることはあるのではないかと想像します。
私の顧客様で日本の会社の支店設立による対米投資をやられている方がおいでですが、数年やってみて、「手間を考えると、大したメリットはないな」と判断し始めたといいます。
こういうことに詳しい税理士さんによると、「日本の会社の支店形式で進出することで、総合的に、節税・節約になるかどうかは、ケース・バイ・ケース」だそうで、日米税務に詳しい先生にそれを判断してもらうコンサルフィーも前出しになるわけですし、やってみて、当初の計画が、目論見違いに終わる可能性もありうるわけですよね。
なので、一般論として、実際にビジネスに乗り出すのではなく、単に、パッシブ不動産投資を小規模に行うことが目的の場合は、「外国会社の支店設立は、手間に見合わない可能性が高いので、素直に米国の一番簡単な起業方法である米国LLCを設立されたらいかがですか」とアドバイスしたいと思います。