「こういう案件はよくあるのですか?」 いいえ、「千三つ」以下の確率かもです


アメリカ不動産投資で資産倍増中!
 ブログ管理人、中山道子です。

多くの方が、幻の優良物件をお求めになっては渇水状態になっています。中には、蜃気楼が見え始めたり、泥水が真水に見えて、つい飲んでしまっている方もおいでの今日この日頃、「ジャックポット」を引き当てたフランク弁護士(仮名)をご紹介します。

この記事の概要

今回、短期融資を希望してきたのは、ある敏腕弁護士さん。投資物件購入の費用に当てるための融資申し込みですが、その取引内容のゴッツさに、融資に応じた日本人投資家様が、びっくり。

「こういった案件はこのエリアではよくあることなのでしょうか?」

というご質問を頂戴しましたが、いえ、業界で言う、「千3つ」、つまり、1,000件に3件といったレベルの案件だと思います、というお話でした。。。

この仕事をしていると、いろいろなオイシイ話を見聞きすることも、恐怖に青ざめる話を聞くことも、たくさんあります。

今回の案件は、「オイシイ」方。またもや、シカゴ市内です。

この記事で紹介する案件の概要

物件相場 42万5,000ドル(鑑定書待ち)
収入   1室  弁護士事務所 月額2,450ドル
     他2室 アパート、合計月額1,800ドル
 
購入価格 20万ドル

融資申し込み理由: 

フランク弁護士は、2013年からこの建物内の事務所を借りて、営業をしていたところ、今回、大家さんが、何らかの問題に陥り、物件を売らないといけないという話に。米国不動産用語でいう、いわゆる、distressed sale 、つまり、「売り手が困っている」状況です。

大家さんとの話をつけることができた結果、彼は、42万5,000ドルの価値がありそうなこの満室経営中の商業物件を、なんと、20万ドルで購入することができることに。

しかし、これは急な話なので、融資を悠長に検討する時間的余裕はなく、そもそも、フランク弁護士は、自営のため、「所得ゼロ」、”経費使いまくり”の過小評価された確定申告しかしてきませんでした。

「所得なし」では、銀行融資は取れません。

そこで、当方で、高金利ながら、緊急のつなぎ融資を申し込むことにしたというわけ。私たちのスタイルのお金の貸し方だと、確定申告書の裏まで読んであげることができます。

向こう2年間の間、当方の高金利融資を受け、その期間中に、申告書をお化粧直しして、所得を計上すれば、普通に商業ローンが取れるでしょう。

商業物件は、鑑定する際には、基本、収入と近隣相場との兼ね合いで値段が付きますので、大体、満室経営できていれば、どの物件も、それなりの値段に落ち着きます。

今回、売り手側にどういう事情があったのかは私達はわからないのですが、売り手は、

【満室経営中で、42万ドルという鑑定額がリアルに出ている物件を、20万ドルで売る】

という契約書にサインをしたわけですから、今回の案件に融資を決められた投資家様がびっくりされるのも無理はありません。

思いつくケースとしては、

「急な相続で、相続人がシカゴに居住しておらず、すぐお金が手に入ると聞き、”今欲しい”ということになった」

とか、

「銀行がこの物件を差し押さえ、内々の格安現金売却に合意した」

とか、そんなケースでしょうか。該当物件は、直近、掲載情報がありませんので、「売ろうとしてだめだった」という話ではなく、本当に、いわゆる FIRE SALE (すぐ売らなくてはいけない、今現金がいる)です。

一般論として、商業物件は、アメリカ人であっても、ローンを取得するのは難しく、3ヶ月とかかかりますから、売るとなれば、1年、2年と本腰入れないと、希望する価格は取れないということは、あります。

そもそも、商業融資は、頭金が、3,4割要求されることが普通。

そのため、商業市場は、多くの購入希望者が、「頭金分が足りない」ことが普通。

そのため、売り手に、OWNER FINANCING (売り手が、物件をツケで売るような形。銀行の代わりに売り手が、お金を全部または一部貸して、最終的な金策が出来るまで付き合ってあげる)の依頼が来ることもよくあります。そうすると、1年以内に買い手がついても、結局、本当に手が離れるのは、5年後といったケースも稀ではありません。

数年後の42万ドルより、今日の20万ドル。

ごっついディスカウントレートです。

当然、利回りは、すごいことになります。

該当物件の表面利回り

物件価格 20万ドル
年間収益 5万1,000ドル
表面利回り 25.5%!

数千万円で購入できる物件としては、今の好景気に沸くアメリカでは、信じられないリターンとなります。

更に、この方は、下の道を取ることで、ウルトラCを実現させることも出来るのです。

ロバート・アレンも驚く究極の「不動産取引するだけで、ATM 的に現金を引き出す」技

普通に、20万ドルで、この物件を購入しようとすると、イチから申し込む商業融資の場合、頭金が、3割、4割、要求されます。鑑定額が、42万ドルで、20万ドルで買うといっても、関係なく、20万ドルの3割、4割を準備する必要があります。

ところが、まず、この物件を購入し、自分名義にしてから、1年以上立てば、なんと、「新規購入融資」枠ではなく、「リファイナンス」という枠で、商業融資を引っ張ることができるようになります。

そうすると、その際の基準となるのは、購入価格の20万ドルではなく、鑑定価格の42万ドルなのです。しかも、ここでも、頭金相当額は、3割以上です。

つまり、新規購入なら、20万ドルのうちの3、4割の頭金を用意しなければいけないのに、これが、1年後のリファイナンスとなれば、銀行からは、鑑定額である42万ドルの7割が引き出せることになるのです。

そうすると、フランク弁護士は、1ー2年後には、最大、30万ドル近くが懐に転がり込むことに。

もちろん、そのうちの20万ドルは、当方に返済しないといけません。(金利は、期間中、月利で払って貰う約束。今回の投資家様は、大体、年率換算で9%台の予定です。)

残った10万ドルは、彼が好きに使っていいお金です。つまり、全面的に人から借りたお金で物件を買い、しかも、1年後に、借金を返した後に、更にお金が手元に残るのです。

もちろん紐付き。銀行金利を月利で払う必要はありますし、最終的には物件を売却するなどの何らかの方法を使って、元本を返済をしなければいけません。)

人から借りたお金で今回、物件を買い、1年後に借金を返済し、しかも、10万ドルが手元に残るといえば、まさに、ロバート・アレンさんの不動産投資術です。

自己資金ゼロで、不動産をキャッシングしようという手法を本にすることで、世界に広まらせた、、、

ちなみに、実際のところ、そういうことをすると、毎月の返済が生じるわけですが、アレンさんは、そのことを忘れて物件を購入しすぎて、何度も、破産したんですけどね。(遠い目、、、)

どうせ、フランク弁護士も、こういう手法で、あぶく銭を手に入れても、長続きさせられないでしょう。米国の利息は高いですから、錬金術だけでは、真の資産形成はおぼつきません。

しかし、それは、将来の話。こちらは、返済さえしてもらえれば、あとは関係ありません。

フランク弁護士、2013年からのテナントとしての家賃支払いもこの5年間ちゃんとできていますし、目の前にこれだけの人参がぶら下がっているわけですから、やる気満々でしょう。20万ドルを融資する相手としては、申し分ありません。

しかも、リンクドインのプロフィールを見ると、彼の専門は、証券関係の資金調達だそうで。

なんと言っても、この物件を20万ドルでゲットできることになったのはすごいです!

私のブローカーも、融資申請案件を審査し、了承するのは、50件に1件と言っていました。

大変な数の案件が、この厳しい審査に合格せず、終わっているわけで、仕事なので、こういうオイシイ案件、私自身は、よく見ますが、それは、私が、単純に、すでに相当精査された案件をいつも見ているから。

今回、この案件への投資を決められた日本人投資家様に、

「こういった案件はこのエリアではよくあることなのでしょうか?」

と聞かれましたが、いや、ホント、確率から言ったら、本当に、稀なケースだと思います、ともちろんお答えしました。

ここで、フランク弁護士が、返済をデフォルトすれば、今度は、この投資家様が、「ジャックポット」になるのではありますが、それも、多分、「千三つ」以下のの確率の話ですね。

この記事のまとめ

うまい話というのは、本当に、なかなかありませんが、長くやっていると、大変確率は低いですが、すごい話に遭遇することもあります。

《記事で使ったアメリカ不動産用語》

Distressed sale 

売り手が離婚、相続などで困っており、物件を格安で売却すること。通常、「2週間以内に、現金で買ってくれ」といった条件のことが多い。

Owner financing

買い手が銀行ローンが取れない場合や、頭金分がない場合、売り手が物件価格の一部または全部を買い手に融資すること。買い手側が売り手側に、名義譲渡にあたって、つなぎ融資をしてあげること。商業ローンの場合は、銀行の融資基準が厳しいので、物件を売りたければ、こうした条件を飲むことが多くなる。