外国人は、アメリカ不動産売却時はご注意! 源泉徴収が待っています

外国人が、アメリカで不動産を売る場合には、アメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)への源泉徴収義務があります。そのため、後日、確定申告で、本当の納税額を確定、調整する必要があります。

米国不動産投資のビギナーの方は、外国人の不動産売却時には、けっこうな経費がかかることを経験されるでしょう。各種経費がかかることは、皆さん、あるていど覚悟されているかと思いますが、見落としやすいのが、この源泉徴収制度。

FIRPTA WITHHOLDING 《ファープタ・ウイズホールディング》

と呼ばれます。

米国籍の方、グリーン・カードを持っている場合は、海外在住であっても、源泉徴収はありません。これらの方々は、海外居住者であっても、どうせ、本来、米国に対する確定申告の義務があるからです。

また、外国人であっても、物件投資を LLC 名義で行っている場合は、原則、該当しないと解釈されていると理解しています。(2020年現在)

ファープタの制度は、外国人の不動産取引にあたって、源泉徴収をしておかないと、きちんと確定申告をせずに米国投資を終わらせてしまう外国人がいるという背景があって、導入されたようです。

源泉徴収代行を担うのは、タイトル・エージェンシー。決済を司る代行機関ですね。

面白いことに、担当者、あるいは、エージェンシーが、海外居住者の取引に慣れていないケースでは、この FIRPTA 源泉徴収代行を全くやらないで終わるケースもあります。

ハワイのように、外国人の不動産取引が多い州では考えられないでしょうが、、、

ファープタでは、原則、売却価格の15%が差っ引かれます。これは、連邦のキャピタル・ゲイン税率が、15%であるためかと思われます。

多くの場合は、売却益が出ていても、本当の税額は、額面価格の15%よりはずっと少ないでしょう。

ロスが出ている場合であっても、15%が差っ引かれるのは手痛いですね。

取引があった年度に、確定申告を行い、正確な納税額を報告すると、差額は、小切手という形で帰ってきます。

申告は、毎年、4月15日が原則なので、大体、そこから数カ月後の夏になるかと思われます。

大金を、小切手で、しかも、国際的に普通郵便で待つのはしんどいですが、仕方がありません。

物件を売却後、すぐに別の用途に振り向けようと考えている場合、売れた段階で、すぐに自由になる額は、この源泉徴収税を想定してかからないといけないので、ご注意。

この記事の概要

外国人が、個人名義のアメリカの不動産を売却するにあたっては、源泉徴収があります。売却資金の全額がすぐに手元に入るわけではありませんので、他の用途に振り向けようと考えている場合は特に、気をつけましょう。

ここで言う外国人とは、「米国籍の人や米国にビザを取得し居住している外国人」以外の方、つまり、日本居住の日本人、米国以外の国に居住中の日本人、オーストラリアに居住中のオーストラリア人、などが例です。