2019年は、買い時でなく、売り時  投資は長丁場、焦らず参りましょう


アメリカ不動産投資で資産倍増中!
ブログの中山道子です。

この記事のポイント

2012年に私のご案内でシカゴの物件を購入された投資家様が、2018年以降、何人かの方が、私のおすすめもあって、売却をされました。3倍といった値上がりを経験されており、嬉しいです。

2012年というのは、私が物件購入を勧めていた最後の年。

その後、ミニ投資家が希望する格安価格では、利回りやリスクに見合うというほどのお買得物件の取得は難しくなりました。

いつも、買い機運であるわけではありませんが、長くやっていると、すごいリターンにめぐりあうこともありえます。

投資は長丁場ですので、プレーヤーであり続けることが重要です。

2012年に、シカゴでの物件購入のお世話をしたある投資家様の物件のリターンをご覧になってください。

2012年購入価格 5万5,000ドル
2018年売却価格 21万5,000ドル

当初のリフォーム費用6,050ドル
賃貸の家賃 1,250ドル

6年強で、購入価格の4倍近い値上がり!

 

 

物件情報自体は公開情報ですが、一応、実際の住所は、伏せさせていただきます。

今回、私が、2018年に、ご相談を頂いた投資家様に、「売却してしまいましょう」とご案内したのは、下の理由でした。

 

=== 私が、2018年の段階で、物件の売却を勧めた理由 ===

1)エリアの背景

この物件は、ブロンズヴィルと言ってシカゴのダウンタウン近く。

俗語的に言うと、いわゆる ”’hood” (もともとは、ネイバーフッドの略で、フッド、犯罪率が高く、低所得層アフリカ系アメリカ人の多いエリアという意味)と呼ばれるエリアなのです。

バブルの時、ここは、ダウンタウンの金融街に大変近いという利便性を前提に、デベロッパー誘導型の GENTRIFICATION(ジェントリフィケーション、エリアのイメージアップ)を経験し、公営住宅の真向かいに、30万ドルといった高級分譲マンションが立ち並び、高所得のアフリカ系アメリカ人に大人気でした。

ところが、バブル崩壊後に、これらの物件は、多く、銀行の差し押さえるところとなり、そこで、目をつけたのが私達だったというわけです。

もともと、数年前には新築で30万ドルで販売されたと言った経緯の物件ばかりで、仕様はゴージャス。

そういう物件が銀行放出で、600万円といった額で売りに出されたので、この時、現金ですぐ動ける投資家様を募り、何件か、確保したという経緯でした。

バブル崩壊は、2008年ですが、シカゴのこのエリアで、不動産市場にリアル波及し、銀行が、住宅ローン滞納物件に強制執行をかけ、そこから、在庫処分を決め、放出、物件価格最低値を経験することに至ったのは、2012年だったわけです。

2)賃貸計画や2017年時のエリア状況

物件自体は素晴らしいものが格安で手に入り、賃料は、ダウンタウンに近いため、1,200ドルでスタートしました。

そんなわけで、幸先はよかったのですが、実際には、バブル時に、デベロッパーが仕掛けたジェントリフィケーションは、本物ではなく、実際には、賃借人の層は、福祉受給者、家賃補助を貰う人とか、アシスタント・クラスでした。

そのため、テナントの手間はある程度あり、滞納され、出ていってもらった等の経験もあり、投資家様にとっては、賃貸経営の手間は、それなりのものでした。

そこは、最初は、ある程度、想定内ではありましたが、残念だったのが、このジェントリフィケーションの波が、結局バブル崩壊後、戻ってこなかったこと。

バブルまでは、景気の良さが下々にまで行き渡り、みんながおこぼれに預かったイメージでしたが、破裂してみると、その後、景気回復をしたのは、株式市場や大手企業、不動産でいうとアッパーなところが中心で、大変残念なことに、一般ピープルは、結局、景気回復の分け前には預かれずで終わりました。

人種格差という観点から見ると、これは、ラティノ系アメリカ人や、アフリカ系アメリカ人が、白人に引き離されたということを意味します。

上の画像は、ワシントン・タイムズの記事、Here’s why the wealth gap is widening between white families and everyone elseより、「人種別に、世帯ごと資産額の差」を示すグラフをお借りしました。

80年台に白人とアフリカ系アメリカ人との間の世帯資産格差は、6倍だったのが、最新統計では、10倍に拡大しました。バブル期には、「誰でも家を買えるように」といった号令のもとに、融資の審査基準が緩和されましたが、崩壊後には、貧困エリアは、公的資金が大々的に注入された株式市場とは異なり、政策的なテコ入れの対象とはなりませんでした。そのため、ラティノ、アフリカ系アメリカ人の多く居住するエリアは、「前より悪い状態」に。。。

上が一般論。

ブロンズビルについても、投資家様にアドバイスする前に、現地の2012年の人口調査と2017年の人口調査を両方確認しましたが、居住者のプロフィールは、基本、全く変わっていませんでした。

エリア内での2012年の貧困率は、35%で、2017年が、31%。多少改善したと言っても、連邦標準の倍です。

シカゴ全体では、所得水準はこの期間、上がっているので、やはり、上向きエリアとそうでないエリアに分ければ、ここは、どちらかといえば、下がり気味です。

そのため、私としては、以下のようなアドバイスをしました。

「元値が30万ドルですので、今後、値上がりを順調に続けて、新築時の売却価格まで、戻っていく可能性もゼロではありませんが、その間の賃貸経営は、これまでどおりご経験されたように、それなりのお手間です。

エリア的には、この6年で、属性が改善しておらず、アフリカ系アメリカ人の比率は、住民の95%で、2012年から変わっていません。

ジェントリフィケーション(だめエリアの改善)を統計的に検討したある学術研究によると、人種ダイバーシティは重要。今後、エリアが改善する指標があるとは言えません。

そうすると、この物件は、今後10年単位で持っていたいというほどの物件でもないのではないでしょうか。

大方の見方では、2020年に向けて、米国が、経済停滞を経験する可能性も高く、そうすると、不況の波は低所得者層を特にヒットしますので、賃貸経営は更に苦戦し、同時に、それなりの価格での売却も難しくなります。

今がトップかはわかりませんが、相当なリターンになっています。

ちょうど、今、テナント・トラブルで、空室になりました。

ここで、また、テナントを入れてしまうと、もう、次に売るチャンスが来るのは、基本、最低1年後、多分、2、3年後といった話になります。

そうなると、ちょうど、景気サイクル上、微妙な時期に当たるということになる可能性もあるわけで、さらに、その時期をやり過ごすことが必要になるかもしれません。

いっそ、今、追い風の間に、利益を確定するために、売ってしまいませんか。

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投資家様もずいぶん悩まれましたが、私のご提案をお受けいただき、上の価格での売却となったわけです。

2019年1月の段階で、「自分のアドバイスが結果論的に正しかったかどうか」については、まだ、白黒的な判断は付きません。

しかし、そもそも、リスクをどれくらい取るべきかとか、不良テナントが多くて、管理会社とのやり取りに苦労するなどの手間は、数値化できない部分でもありますし、また、政策が低所得者層への富の再分配に向かう可能性はといえば、2020年の大統領選挙の動向次第と言った「占い」「ギャンブル」レベルの話でもあります。

投資そのもの、アドバイスそのものが、万全ということではないということで、ご理解いただくしかないところですね。

 

注)トップ画像のグラフは、ZILLOW 作成グラフを利用し、私が加工しました。

この記事のまとめ

投資は長丁場なので、いろいろ長くやっているとすごいリターンに遭遇することもあります。(失敗も同時にあります。)

重要なのは、常にプレーヤーでいることかと思います。そのためには、景気や環境に対応できる投資スタイルの”引き出し”が、複数、必要ではないでしょうか。

2012年と違う投資環境の今、当時買った物件を売却され、利益を確定され始めている私のお客様は、短期融資スタイルの投資に切り替えておいでです。