アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログの中山道子です。
今日は、賃貸経営におけるペット不可問題と、最近米国で広まってきた心的サポート動物問題論争について。
米国では、不動産、住宅業界には、機会均等法があります。
その割には、不動産市場における人種差別がひどい、という記事もたくさん書いていますが、、、
仲介業者さんやローン担当者、大家さんは、FAIR HOUSING ACT に基づき、下の差別をしてはいけません。
人種、宗教、性別、国籍、家族ステータス、障害
昔は、日本人も、米国で賃貸をしようとすると、「和食を料理して家が醤油臭くなる」などと言われたケースなどもあったと聞きますが、そういうのは、当然アウト。訴えられます。
とはいっても、人種問題については、依然、コンプライアンスが悩みで、昨日も、「建物鑑定における人種差別がひどい」という趣旨の記事を書きましたが、今日は、機会均等法の中でも、もう一つのホットトピック、イモーショナル・サポート・アニマルについて。
EMOTIONAL SUPPORT ANIMAL
とは、精神的なサポートの手段として、心的ダメージを受けている人が、ペットに心の拠り所を求める場合。医師の判断で、それが治療の一助となるケースが数多く認められ出し、機会均等法上、ペット不可物件に、このような入居希望者が申し出てきたら、どうするか、という問題として認知されるようになりました。
均等法上の DISABILITY(障害)の定義が、昔より、拡大しているのですね。「健常者のペット不可」は大家のポリシーなので、問題ありませんが、「エモーショナル・サポート・アニマル帯同のテナントさん」の受け入れを拒否したら、障害者差別で、連邦法違反になるわけです。
こういう場合、該当動物は、盲導犬のように、トレーニングを受けた訓練犬でなくても、普通に、「そこらにいるうさぎ」とかでいいわけです。失礼な言い方をしてみましたが、うさぎをコンパニオンにしている方にとっては、「そこらのうさぎ」ではなく、「かけがえのない家族」であるのみならず、「心的ダメージを受けた自分を無条件に愛して受け止めてくれる唯一無二の存在」でもあるわけですね。
連邦法なので、州によっては、州法レベルで、更に細かく、内容を決めてあったり、州の裁判所で、判決が出ていたりします。
ニューヨークのある法律事務所の説明記事は、下から。
Does a Lease’s “No Pet” Provision Apply to Emotional Support Animals?
ここで紹介されているケースでは、「ペット不可」という契約書を了承して入室したテナントが、その後、ESA( EMOTIONAL SUPPORT ANIMAIL)を得て、一緒に生活を開始し、大家との間で法的論争になったケース。ニューヨーク州高等裁判所は、「ペット不可」をわかって入居していたとしても、入居後、ESA を取得する事はできると判断を下し、業界に衝撃が走りました。
ただ、大家側も、ESA であるという言及を真に受ける必要があるわけではなく、医師や精神科医の申し送りは要求できます。また、動物をきちんと管理し、うろつかせない、規定のワクチン接種をさせるなど、動物愛護法等準拠の行動を要求できます。
ペット・デポジット(普通のペット可の物件はプラスの保証金を要求していい)は要求できませんが、実害の範囲は、修繕要求できます。
しかし、管理会社、管理する側にとっては、、、
いかにも、労多くて、利益は出にくい苦しい状況。集合住宅にたくさんの ESA やペットが跋扈している状況を考えるだに頭痛がしてきそうです。館内エレベーター内で、誰かの ESA が他の人を噛んだら、誰の保険を使うのか、、、とか、、、
コンプライアンスに厳しい先進国でのビジネスをするためのコストですね。
州ごとに、感度は違うと思うので、意識高い系のニューヨークやカルフォルニアでは、相当気をつけなければいけない反面、テキ★スやア★バマなら、現状、運用はそこまできつくない、そんな差はあるのだろうかと思います。
真面目にやる人には厳しくて、無法者は何故か好き勝手にしているように見える、、、?
そんな構図ですが、夜ゆっくり眠れ、長期的に資産が形成できるのは前者。このブログの読者が、大家業に乗り出す際には、基本、管理会社任せにする方が多いとは思いますが、現場の状況を多少理解しておくことが必要です。