アメリカ不動産が高く感じるのは、日本人の経済力が相対的に低下しているから

アメリカ不動産投資で資産倍増中の中山です。


米国は遠く、シンガポールにも抜かれた。次には、韓国にも追い越される? 日本人の所得 世界銀行データ

この記事の概要

2020年、2021年と、アメリカ不動産はバブル最中なんですかと聞かれますが、所得、経済が成長しているだけで、全くバブルなんかではありません。日本在住者は、このまま手をこまぬいていては、更なる相対的経済的地位低下に泣かされることになるでしょう。世界経済のインデックス投資信託であれ、アメリカ不動産であれ、上昇志向がある方にとっては、海外に資産を持つことが必須です。

投資塾に参加されている方々から、

アメリカの不動産を本当に高くなった。
普通の人は買えないレベル。
今後どうなっていってしまうんだろう。
これはバブルですか?

といったご質問を受けることが多い昨今です。

結論から言いますと今のアメリカ不動産はバブルではなく、別に高くありません。

説明を補足するとすると、二つ論点があると思います。

第一論点。アメリカ社会内の経済格差悪化傾向の問題。

アメリカ内では、資産や所得分布の二極化があり、最新の状況においても、2020年時においても、最新の具体的なデータは、2019年の全世帯の所得中央値が、65,712ドルであるというものです。

そのため、所得が、6万ドル後半台以下の層にとっては、自宅を買うことは難しくなってきていることは間違いありません。

それに対しアッパー50%は、2020年のCOVID旋風においてもほとんど失業しておらず、むしろ所得を伸ばしました。全世帯のデータではなく、二人以上の家族世帯についてみると、実に年収の中央値は、2017年の段階で、73,891ドル、全米不動産協会の試算によると、直近2020年末の段階で、84,000ドル近くなったと推定されています。

現在、全米での中古住宅の価格の中央値は、315,000ドル台ですので、2人以上の家族世帯年収の3.75倍で居宅が買えるわけで、この世帯にとっての居宅の購入は、低金利を前提にすると、経済的には、全く問題ない状況といえるでしょう。

もちろん個々に、ミスマッチはあります。

例えばカリフォルニア。資産家が、お金を置いておく方法として家を買っていたり、何千万も稼ぐテックワーカーが多いため、住宅が大変高く、8万ドル稼いでいる一般所帯持ち世帯にとって、「学区のいいエリアで、一戸建てを買う」など、夢の夢と感じられる方が多いでしょう。

また現在COVIDの問題があり、まだまだ供給が需要に追いつきません。そのため、資金的には買う能力があるが家がどうしても見つけられない、そういう状況も生じています。

頭金程度ならあり、年収もそれなりだが、銀行のクレジットスコアが、それほど良くなく、あるいは学生ローンが残っているために、銀行融資が出ない、という方もいるでしょう。

しかし、全米にならすと、そもそも家を買いたいと思うターゲット層にとっては、価格自体が手が出ないという状況ではないことはお分かりいただけると思います。つまりこの一点から見てもアメリカの株式はいざ知らず、一般の不動産については、「バブル相場」ではないということが理解いただけると思います。

第二の論点。米国不動産が高く感じるのは、日本人の購買力が相対的に落ちていっているからです。

日本の年収はこの20年間ほぼ変わっていないと言うかむしろ下がっています。インフレを勘案すれば下がり幅は統計上よりもずっと大きいわけです。

日本では給与所得者が全労働者層の9割近いそうですが、そこで給与所得についてみると、所得が、1,000万以上あるのは全給与所得者のうちの5%程度にしか過ぎません。しかし、上で見たように、2020年のアメリカでは、この1,000万という所得は、単純な為替計算で、9万5,000ドル、「2人以上の世帯の所得の中央値である8万4,000ドル(推定)」より1万1,000ドル高いだけに過ぎないレベル。

ようするに、米国では、全世帯の4割近くが、「年収1,000万」というステータスを、クリアしているのです。

過去20年の間に、「成長する国」との間には、これだけ、格差が、広がっているのですね。付随して、この20年間の間に、米国不動産の売買価格は、平均で、二倍以上になっています。

日本での所得は減少している反面、米国不動産は二倍になったわけですので、日本国内で日本円で生活している場合は、そこまで体感する必要がない「相対的な体力低下」が、「米国不動産は高いっ!」となるわけですね。

しかし、日本の経済成長が難しく、自分の給料が上がりにくい中、資産を増やすには、まさに、このように、成長率や生産性がより高い海外を見ることに意味があります。

増える実績がある資産に投資をするべきなわけですから、アメリカ不動産が、過去、ずっと値上がりして来ているということは、「投資をするべき理由」ではあっても、「投資をしない理由」ではないのです。

20年前からアメリカ投資をされていた方は、大きく資産を伸ばしているはず。

ところが、私のコンサル経験でいうと、「もっともアメリカ不動産投資に抵抗がある層」は、実は、「日本国内で成功している大家さんの層」です。

皆さん、

「アメリカは物件が高すぎる、金利が高すぎる」
「経費が高すぎる、リターンが低すぎる」
「今自分が日本でやっているインカムゲインが得られない」

とおっしゃり、日本での成功体験が邪魔をして、全くスタイルが異なる海外投資に着手する勇気がでないのです。ガラパゴス化しているといったら失礼になるでしょうか。

確かに、冷徹な言い方をすると、自分自身の国内投資が、すでに成功しており、次世代のことはもう関係がなくなった層は、無理に、リスクを取って、海外投資に着手をしないでいいでしょう。

他方、まだ若い方、お子さんの将来が心配な方は、これからも資産を、日本経済の成長率以上に増やしていきたい方は、全く利益のとり方が違う海外投資を積極的に検討する必要があります。

日本居住者にとっては、今後、日本の相対的な経済的地位は、ますます下がっていき、と同時に、自分自身の経済的地位の相対的な低下にも、拍車がかかっていく、それが統計的な現実なのです。