なかなか新しい案件が出ない日々、、、2020年5月24日の対米投資家日記

この記事の概要

ある米国不動産投資家の日記 投資案件審査をしていますが、今、なかなか、まとまりません。

アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログの中山道子です。

2020年5月も最後の週となり、多くの都市で、COVID 旋風によるステイホーム開始から2ヶ月以上経過したということで、一部、REOPENING《経済再開》を経験し始めているところでしょうか。

今週は、現在進行中の案件への追加投資の要請が来て、その審査で終わりました。

投資案件の審査のためには、短時間に、膨大な情報に目を通す必要があるのですが、私の仕事の一つは、ブローカーから上がってきた案件を、投資家目線から再検討すること。

ブローカー側で、基本、審査をする人がいて、それを、経営者であるブローカーが承認してこちらに話が回ってくるので、基本、「審査は終わっている」「ブローカーお勧め案件」のみが私のところに来る前提なのですが、自分自身が投資をするのはもちろん、人様へも、投資お勧めをするのですから、そこから、自分でも再検討をし直します。

短期的に売上げを上げるという観点がありますから、厳しい案件審査というのは利益相反すると思われるかもしれませんが、トラブる案件というのは、最終的に、問題が解決できる場合でも、「時間」という不可逆のリソースを過分に消費します。私の場合、リピート顧客様と、何年でも、同じことを毎年やっていくスタイル。大成長はない反面、真面目にやれば、顧客の新規獲得コストが限りなく低くなります。

不動産というのは、荒っぽい商売で、人を見たらまず怪しいと思うところからスタートする位の気持ちで丁度いいのですが、そうした業界の中で、信用にまさる通貨はありません。(なんか翻訳調の格言風な物言いですが)

それで、現在、ブローカーのオフィスは、ステイホーム形式で自主的な在宅勤務体制。厳密には、出社していいタイプのビジネスなのですが、健康被害が生じると、少人数の精鋭部隊に壊滅的なダメージとなるため、出社は任意の形で、「各人、必要があれば出社する」のだそうです。

彼によると、これで、「仕事の能率は、出社して行うのに比べると、7割」だそうです。

みんな基本的にはデスクワークなんで、慣れれば、もう少し効率よく行くようになるのではないかと期待したいですが、今週申し送られてきた案件は、実際、デューデリが不十分で、何度もやり取りすることになりました。

今回、担当者が気を抜いた理由は、はっきりしています。

この案件は、去年、融資実行をした案件への追加融資の依頼だったのです。

しかし、ポスト COVID 時代の融資審査は、去年と同じ基準でというわけにも行かないところがあるのは当然。いずれにせよ、追加融資申請依頼がある時は、初回の一式書類を引っ張り出してきて、「どんな案件だったかな」ということを確認することから始めます。

今週届いた案件は、フィックスアップ。空き物件を、リフォームをして満室経営まで持っていき、そこから、きちんとした銀行でリファイナンスをして、当方への返済を行うというものでした。

最初に融資をした金額は、10万ドルでしたが、今週の申し送りでは、「最初の工事で予算オーバーとなったけど、今回、その分もカバーしてもらう必要あり。次の工程もあるし、追加で10万ドルお願いね」という簡単なもの。

いかにも定型業務風なメールでしたが、大型のフィックスアップの第一工程で予算が大幅にオーバーしたからといって、当然のようにオーバー分を要求してくる業者なんて私にとっては言語道断。そこを、普通にオーケーを出したブローカーも、いつもの彼とは別人状態!どうしちゃったんだろう。

私の一次回答として、

「今、私の方は、投資家様が、お金を持って待っていただいている状態だが、そんな甘い追加融資にOKするような方は、誰もいない。もし、追加融資するなら、むしろ、今の投資は引き上げる。」

と拒否したことから、今週は、ブローカーとの間で、大論争になってしまいました。

ブローカーの主張は以下の通り。

> この二人は与信がいい(夫婦とも700以上)
> 賃貸経営していてそっちの所得が大きい

翌日、今年の新規一式書類が送られてきて、担当者の申し送りとしては、「この夫婦は給料の他、賃貸経営で、毎月4、200ドルのネットキャッシュフローがある」と譲りません。

しかし、最新書類と去年の書類を突き合わせ直したところ、実際には、こういうことでした。

「去年は、別口の賃貸経営から毎月2,000ドルのネットキャッシュフローがあったために、10万ドルの融資を承認した」状態

それに対し、

「今年は、この夫婦は、その賃貸物件の含み資産を引き出すために、リファイナンスをして、20万ドルを現金として手に入れている。その反面で、そっちの経営上、当然ながら、毎月の返済額は上がってしまっており、現在、その賃貸経営からのネットキャッシュフローはむしろ大きく減っている」状態

なんと、審査担当者は、借り手のポートフォリオの中のこの賃貸物件に行われたリファイナンスを完全に見過ごしたどころか、去年の段階で、融資がついていたことすら、忘れていたようなのです。

そこで、私は、こう回答しました。

> この夫婦は、この1月に20万ドルの現金を銀行からキャッシングしている。
  なんで、それを当方フィックスアップ費用に充填しないのか?
  何に使ったのか? そこを追求していない審査は不十分
> 賃貸経営からのキャッシュフローは、現在、1年前の2,000ドル
  と比べ、減っている。4,200ドルのネットキャッシュフローがある
  というのは、ローン返済を計算に入れない数字で、担当者のケアレスミス。
  夫婦の年収は、それだけでは、不安な額。
> 大体フィックスアップの第一工程の予算がいきなり3割オーバーなら、
  今後もそれが続く覚悟が必要。このレベルでは、フィックスで得られる
  利益は吹っ飛ぶ。


中山の意見:この借り手はもう他所で借り換えしてもらうべき。

生真面目なブローカーは、私の細かい指摘に目を通し、最終的に、担当者の目配りが行き届かない状態だったことを認め、追加融資を勧めてきたことを謝ってきました。今は緊急事態ですし、人間なのですから、こういう誤りは誰でもあるもので、そこは、仕方がありません。

結論としては、私の希望通り、追加融資は棚上げ。放置プレイと方針が決まりました。

とりあえず、物件の鑑定価値は、初期修理の結果、去年より上がって、27万5,000ドル位。当方の融資額は10万ドルですから、追加融資さえ行わなければ、今の投資家様のポジションは、コロナ恐慌を迎えた今でも、心配はありません。10万ドルに対する毎月の月利の返済は、当然、きちんと行われており、それくらいは今後もやれるでしょう。

他方、この夫婦が、この物件に対し、フィックスアップ費用がもっと必要だということなら、当方は出さないわけですから、他の業者から借り換えしてくれるでしょう。1月に引き出した20万ドルが温存してあるなら、それを使えば、明日にでも返済してもらえます。

投資家様には、昨日、この間のやり取りを、アップデートとしてご報告する長いメールを書きました。

金額は小さい案件でも、数100万ドルの案件に使うのと、エネルギーは同じです。

新しい案件が来るのを首を長くして待っていますが、過渡期の今、なかなか、当方が納得する条件での新規融資は決まりません。審査基準は下げられないので、仕方がありません。

投資家の皆様、私は、今週は、こんな日々を過ごしました。

この記事のまとめ

新規投資案件を探して無駄になる時間も多い日々ですが、審査基準は下げられないので、引き続き忍耐! 待っていただいている投資家の皆様、申し訳ありません。