不動産市場における黒人差別問題とは

アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログの中山道子です。

今日は、不動産市場における人種差別問題について。

お金の世界は、すべて数字なので、数字に差別といったような非能率的な、非効率な要因が影響を与えるはずはないというのが、業界を知らない方の普通の想定かもしれません。

不動産市場での人種差別ってなんや? マイノリティの人、かわいそうではあるけど、経済の世界は、実力主義や。弱音はきすぎやん?

(すいません、なぜ大阪弁、、、)

トランプ政権時には、住宅都市開発省 (The Department of Housing and Urban Development = HUD) は、自力で成功を手中にしたゴリゴリのブラック・リパブリカン、ベン・カーソン医師がトップ。政権は、人種差別問題については、興味なし体制を貫きました。成功した黒人をトップに据え、「黒人差別は昔のもの」と言わせたわけです。

それが、バイデン政権になり、「フェイクデータ」は通らなくなりました。現在、アフリカン・アメリカンの経済力を向上させるために、あらゆる方策が探られるようになり、不動産市場における21世紀型黒人差別に、またスポットライトが当たり始めています。

現在、一番問題になっているのは、「黒人が住んでいる家、エリアが、建物鑑定により、いつも低めに鑑定価格が算出される」という不動産鑑定士業界が露呈した露骨な黒人差別。

2021年2月報道の下のユーチューブニュース例では、サンフランシスコで、黒人家族が、白人不動産鑑定士に、居宅98万9000ドルという鑑定を受け、2度目の鑑定を要求、なんと白人の友人を駆り出して、二番目の鑑定士との応接を依頼します。つまり、白人家族が、その家のホームオーナーであるかのように装わせ、再鑑定をさせたのです。

その結果、二度目の鑑定では、148万2,000ドルという巨額の鑑定価格アップを勝ち得ました。

夫婦はインタビューに応じ、あからさまな人種差別を糾弾。実際、50万ドルの差ですから、言い訳できません。

これは、単発的なエピソードではなく、メディアには、最近こういう実例報道が増えており、業界内でも、不動産鑑定士業界のダイバーシティのなさの問題などが、改革要求を生んでいます。人種比率は実に、85%白人だそうで、現在、米国では、白人比率は、6割を切っていますから、どうにも非白人を蹴落としている観があります。

ブルームバーグの9月22日付の以下の記事の報道によると、この人種差別は、1980年代よりひどくなっているという調査が発表されたそうで、今、不動産鑑定業界への信頼が、再度、揺らいでいるのですね。

A Neighborhood’s Race Affects Home Values More Now Than in 1980Decades after housing reform, race has become an even greater determinant of home appraisals in Black and Latina neighborhoods, new research finds.

鑑定士も人間、たいして儲かる仕事ではありませんから、自分より成功している有色人種を見ると、腹が立つのでしょうか?

2006年までのバブルにおいては、銀行やデベロッパーのプレッシャーを受けて、上手に空気を読み、望まれるままに、高額鑑定を連発した同じ業界です。

一部のエリアを囲い込み、「ここは、黒人、ラティノ・エリアで、価値が低い」とレッテル張りをするだけで、そのエリアの経済発展が止まってしまい、住民全体が、地域社会にとってのお荷物と化すことになります。

ロウワーな白人にとっては、自分より下の人間が必要なんだと真顔で論じる人もいますが、政権や業界関係者は、今後、国全体の生産性を上げていくために、過去の累積の歴史に正面から向き合っていく必要があります。