米国不動産、「スタグフレーション」状態から抜け出すことができるか:2026年5月の視点

ここ数年にわたり、不動産価格は、停滞してきました。下は、連邦地銀の全米居宅用不動産価格中央値グラフ。

2022年から2024年までの期間は、金利の急激な値上げがあったため、専門家は、この期間については、そうしたマクロ要因に対する《対応期》(volatility、変動の時期)と位置づけていますが、2024年以降については、停滞という言葉が用いられるようになっています。

例えば、全米不動産協会は、2025年を、”mostly a stagnant year”(概ね停滞期)と呼びました。

Housing Market Set for a 2026 Comeback, NAR Predicts

スタグフレーションとは、なんでしょうか?

スタグフレーションとは

スタグフレーションは、スタグネーション(stagnation)とインフレーション(inflation)をかけ合わせた造語で、需要が確認できないにもかかわらず、物価が上昇していることをいいます。

通常、景気が停滞(スタグネーション)すれば需要が減り、物価は下落するはずです。しかし、景気が停滞しているにもかかわらず物価や運営コストが上昇し続ける現在の米国不動産市場は、まさにこの造語が示す通りの状況といえます。

ここ数年の状況は相変わらず。

  • ロックイン効果: 低金利時代のローンを手放したくない所有者が売りを控えているため、供給が圧倒的に不足しています。

  • 二極化: 「買いたい人はいるが、売り物がない」という歪な構造が、取引の停滞と価格維持を同時に引き起こしています。

 

米国のインフレはこれからも続く

IMFの4月の経済見通しでも、米国のインフレの粘着性が指摘されました。金利の「Higher for Longer(高止まり)」が定着したことで、投資戦略の転換が求められています。

かつてのような「保有していれば価格が上がる」というキャピタルゲイン頼みの時期は、一旦幕を閉じました。

今の段階で、どんどん新規不動産投資をしようと考えている投資家は少ないのではないでしょうか。特に、このブログを読まれている方の多くが日本在住なため、円安も合わせて考えると、対米不動産投資のハードルは、超えがたいものとなったと感じます。

他方、既存の投資家も、現在保有している不動産の処分には頭を悩ませているかもしれません。

一度値上がりしたのはいいけれど、もうこれ以上の値上がりや利益増は難しそう。エグジットして投資先を変えようと思っても、「じゃあ次どうする?」という問題に対面するため、この停滞やハイコスト構造を受け入れるしかないと考える向きもあるでしょう。

 

不動産投資「組合」の優位性

 

スタグネーションがテーマだった2025年、私たちのファンドは、12%以上の資産バリューアップを報告することができました。同時に、個人レベルでは行いにくい節税効果を投資家様にもたらしました。

米国不動産保有ファンド、純資産評価額が12.32%増加し、順調なスタートを切る

その具体的な手法は、このブログでも見てきました。

例えば、格安の要修理物件を購入し、修理を施し、バリューをアップさせるとともに、高い家賃を取る手法。

デトロイトのようなストックが古い市場では、「どのレベルのストック」が提供できるかで、家賃のランクが決まります。

物価上昇と片付けるな!米国の賃貸グレードの物件はどんどん高級化している

同じエリアの隣接した家屋でも、内部修理のレベルと、テナントが何年居住していたかで、賃料に二倍の違いが出ることもありえます。

この部分は、優秀な管理会社さんとの契約で、大きく成績に違いが出るところですが、私たちのファンドのメリットの一つとして、共同経営者が、地元でも大きい管理会社を経営しているということがあげられます。

具体的には、以下のことが実現できています。

  1. 物件購入前に、内見。修理見積もりや家賃目安を弾き出す
  2. 入居済み物件の場合、購入前に、テナント審査や賃料アップ交渉を終わらせる
  3. 共同経営者が経営する建設会社がシームレスに修理
  4. 家賃回収率はたいへん高く、90%後半を維持

このブログは、投資家の視点を大切に書いています。

ファンドへの参加は常時歓迎していますが、この記事では、営業色を強く出したいわけではなく、

「現在の市場は、プロがここまでやって初めて利益が出る市場なのだ」

という認識を、正直にお伝えすることが目標です。

日本人向けの対米不動産投資指南においては、私は草分けを自任してもいいと思いますが、単調に物件購入を勧めてきたわけではなく、実は、私は、常に時代にそって投資のスタイルのおすすめを変えてきました。

お買い得物件の購入が難しくなってきたと感じたときには、通常の物件購入のおすすめではなく、利益確定がしやすい担保つき融資投資のおすすめへと切り替えてきました。

現在のファンド形式への切り替えにより、個人では取りにくい投資手法が、皆様に取っていただけます。

例えば、

  1. 購入時には、キャッシュを使い、バルクセール。
  2. 単発の場合は、個人が手を出しにくい要修理物件を購入
  3. リバランス(rebalancing)として部分売却で利益も確定
  4. 売却時にはランドコントラクトなど高度な手法も採用
  5. 多数物件への投資ポートフォリオで空室管理などがより容易、安定性を図る
  6. 不動産専門の税理士がつき、節税対策の最大化

などです。

ピンときにくいですが、最後の節税対策の例としては、コスト・セグレゲーション・レポート(cost segregation report, “cost seg” report)の購入は一つの例。

本来、27年半であるべき減価償却を加速する事ができる手法ですが、有料で、必要になる場合は結構なコストになります。

同時に、ダウンサイドもあるので、慎重に「どういうときに採用するべきか」を投資戦略(通常は、どれくらいの期間、ホールディングするかを一つの基軸として、リターンや売却価格を勘案)と合わせて検討する必要があり、それ自体が、副業レベルの週末投資家には難しいでしょう。

今でも、「米国不動産を購入するようにという営業」が来るというケースもあるかもしれません。

地元密着型の仲介業者さんなどは、優秀である場合でも、マクロの観点がない場合があり、「自分のエリアで物件を売ること」に対するインセンティブに強く支配されるため、いいことばかりをいいがちの傾向もあります。

こういうときこそ、永遠のセールス撃退法である

《そんなに儲かるならあなたはなぜ自分で買わないの?》

という視点の登場かもしれません。

私自身、自分が投資家でない業者さん、言っていることとやっていることが違う営業さんの営業については、割り引いて考えるタイプです。

 

2026年、不動産価格は値上がり再開するのか?

 

最後に、今後の動向について。

全米不動産協会等いくつかの団体が、今年は、不動産取引件数が上昇するのではないかと考えています。

しかし、これは、業界にとっての収益構造の問題で、投資家にとっての問題意識は「値上がりが再開するか」のほうかもしれません。

こちらについては、取引件数の回復に加え、金利が下がる必要があるでしょう。また、まだ分析が可能な状況ではありませんが、移民政策が不動産価格や空室率に与える影響も、実際には、エリアごとに検討していく必要があります。

長くなりますので、ここらへんで。メルマガご登録もぜひ。

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