「来週127万ドル出せますか?」 年率11%の鉄板投資案件

「アメリカ不動産投資で資産倍増中!」ブログ管理人中山道子です。

私のやっている短期間融資の投資案件については、「どうして、こんなに利回りが高いのか?」「本当に安全なのか?」といった疑問が湧くかと思います。

「どうしてそんなに利回りが高いのか」については、いろいろなケース、理由があります。今回は、昨日飛び込んできた案件を例に、どうして、借り手は、そんなに高金利を払う覚悟があるのか、という問題を見ていきたいと思います。

記事の概要

「来週投資していただけるなら、127万ドルに金利が11%つく鉄板案件がご案内できるかもしれません。どうされますか?」

今回の案件は、少し複雑。実態とペーパー上の合意が異なります。

 

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1,《実態》
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担保対象となる物件は、2年前、1,300万ドルの鑑定額が出たアパート一棟です。写真をご覧ください。鑑定書に築1868年とあり、1968年の間違いだろうと思いながら読み進めましたが、実際に、19世紀に建てられた教会をリフォームしたというのです。すごく趣のある物件ですね。中は完全な築浅物件に見えます。

物件概要:
所在地:フィラデルフィア、ペンシルバニア州
エリア:ダウンタウンで低所得者層居住エリアだが、ペンシルバニア大学徒歩20分で学生向け経営
築年数:1868年、フルリノベ済み(2014年)
鑑定額:1,300万ドル(2016年次)
部屋数:71室
稼働率:94%(実質100%、割引や更新期間を参入し算出)
賃料:年間グロスで100万ドル強

これを所有経営しているLLCのオーナー、この物件にはそれなりのエクイティがあるということで、そのエクイティを有効活用したい、別の投資をしたいということを考えつきました。

現在、「寝かせているだけ」の含み資産の活用なわけですから、金利が多少高くても、その別件で投資がうまく行けば、問題ないという考え方です。

担保物件には、900万ドル弱のローン(第一抵当権)がついているため、含み資産は、400万ドル強。その400万ドル強の部分に対し、127万ドルの融資申請があったという次第です。

担保自体、経営中でキャッシュフローもあり、融資をする側にとっても、やり方によっては、安定投資にできるポテンシャルがあります。

以上が取引実態です。

 

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2、《問題点》
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今回、抵当権者が、融資の条件として、残りの含み資産分について、「劣後する抵当権をつけてはいけない」という条項をつけています。

これは、2009年時に、モーゲージ危機をきっかけに導入された商業不動産融資に関する安全弁的法規制。オーバーレバレッジ警戒の方策ですね。

そのため、「含み資産はある」のですが、借り手は、そのエクイティを現金化する方法に悩んでいました。

他所に行っても、融資を断られるわけです。

 

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3,《解決》
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当方ブローカーの方で、ガイドラインを弁護士に読んでもらい、<こういうストラクチャーなら違反しないはず>というシナリオを前提に、融資形式を決定しました。

ファイナンスの世界は、やはり公的規制にはなかなかなじまないのでしょうか。一つ道を塞いでも、別の抜け穴が見つかるものらしいです。

具体的には、当方が、「融資対象となる物件を所有するLLCの株主となる」ことで、資金注入を可能にし、また、「一年後の株式の買い戻し価格を事前に合意をし、買い戻し権を行使してもらって終了」という、いわゆるPREFERRED EQUITY INVESTMENT(優先株発行形式をとった資金調達)として構成することになったのです。

そうすると、あちらが、万が一、合意した金額で株権を買い戻ししてくれない場合は、当方は、満室経営中の優良投資物件の共同経営者として居座ることになります。(優先株なので、第一抵当権者に劣後するが、経営者に優先する)

今回、合意した持ち株比率は、48.75%。

もし、合意された買い戻し権を相手が行使しようとしない場合、会社には、400万ドルのネットエクイティがあるわけですから、127万ドルの投資を持って、そのうちの400×47.75%=191万ドルをコントロールすることが可能になります。もちろん、家賃収入の各種支払い後の利益も同じパーセンテージに応じて配分を受ける権利が生じます。

最悪の場合には、さらに最大900万ドルを追加出資し、第一抵当権を抹消することも射程に入ります。経営が紛糾した結果、ローン返済が焦げ付いたとなれば、満額返済オファーをしなくても、抵当権者はディスカウント返済に合意する可能性だってあるかもしれません。

私自身のみならず、ブローカーのネットワークを前提に、グループ全体が追加資金投入できるという前提、このようなプランBやプランCが描けるという前提があると、この案件は、「普通の金融機関が手を出さない追加融資不適格案件」から、俄然、「優良投資スキーム」へと生まれ変わるわけです。

今回、いろいろな経費も含め、投資家様は、年率11%のリターン目標となり、借り手は、年率20%の高金利を払うことに合意をしています。

桁が大きいから、可能になるディールなのであって、これが、例えば、全く同じ比率(%)を使い、

「30万ドルの居宅物件に7割の融資がついているので、残りの含み資産9万ドルに対し、その3割の2万7,000ドルを貸してください。年率2割の高金利を払います」

と言われても、弁護士費用やLLC設立費用はもとより、焦げ付いたときのトラブル対処の手間に合いません。

 

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4,分析
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<Q どうして、借り手は、年率20%というクレイジーな高金利を払う覚悟でいるのですか?>

A)今回、この経営者の400万ドルの含み資産は、寝かせたタンス貯金。これだけの金利を払わないと、活用できません。他方、金利が高いとはいっても、その127万ドルを再投資し、別の物件投資の頭金にすれば、投資リターンは、頭金に対し、20%以上が確保できる可能性が高く、この経営者にとっては、成長するビジネスモデルの一戦略という位置づけであるようです。この方は、この物件の他にも、いくつか学生向けアパート経営をやっており、こういう賃貸経営については、ベテランなようです。

<Q そんなに良い仕組みなら、どうして、こういう投資が一般化しないのですか?>

A)一般的な不動産融資を行う商業銀行やノンバンクにとっては、定型業務外となり、また本当の投資銀行にとっては、サイズが小粒に過ぎます。このため、このサイズ、タイプの投資は、実は、「誰もやりたがらないニッチ」案件なのです。

<Q 投資家として参加する側にとってのリスクというのはどんなところにありますか?>

A) この案件は、相当な上級編となります。

まず、「来週決済です」という話ですし、第二に「他の準備はすべて終わり、現在、第一抵当権者の了承の回答を待っているところ、決済できるかどうかは、その回答が来るまでわかりません」という状況。

第三に、スキーム自体を理解することがなかなか難しいのが一番の難点ということかと思います。

第四に、可能性は相当低いですが、もし、返済がごたつく場合は、元本回収が1年後ではなく、数年後という話になるので、「どうせずっと投資を続けるつもりのご資金、当面、帰ってこなくて利息がつく限りは問題ないご資金」で行っていただく必要があります。

<Q これ、やってみたいので、お金を用意する間、待ってもらいたいのですが>

ご準備ができたときにお問い合わせください。こうした案件は、融資希望が出たときに、「すぐ貸す」というスピーディーな解決提示のコストも含めてはじめて、高い金利を払ってもらえるという状況があるため、「2週間で、お金を用意する」というのが一般的なスピードとなります。ご資金をご用意いただいた後に、来る案件をご紹介させてくださいませ。

<Q 不動産のことならイメージがつくんですが、なんだか、この案件は複雑ですね>

案件ごとに事情やスキームが異なり、もっと理解しやすい案件のほうが多いです。ただ、慣れると、だんだんわかりやすくなるかと存じます。他のよりシンプルなタイプの案件についても、お問い合わせください。

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今回、ご案内して5時間で、案件が出るのをお待ちいただいていた大口様から、「それでは、127万ドル中の117万ドルを」というお返事を頂戴しました。

過去に何年もの間にわたり、あらゆるケースを経験し、信頼関係を築き上げてきた顧客様なので、ご決断が大変早くいただけます。

実際に投資が実現できるかわからないので、この案件が融資実行できない場合は、次の案件をご案内させていただくことになります。

端数の10万ドルは、別の投資家様にご案内しても、実行できるかどうかわからず、お騒がせになって申し訳ないので、私が足し前する気でいようと思います。

実際に決済に持ち込めるかは、抵当権者の了承待ち、最後の日まで、ハラハラさせられることになりそうです。

この記事のまとめ

米国では、成功した資産家、経営者であっても、既存の所有不動産を担保に、短期のつなぎ融資を求めるニーズが後を絶ちません。資産家であっても、高金利融資を必要としている、そんな一例をご紹介しました。