この記事の概要
■ 円安は、政府筋にとってはニューノーマルの政策なのでは?
■ 対米投資に着手してくださった私の投資家様は、今後も米ドル資産を大切に
■ 今後円が〈戻る〉かどうか?
アメリカで、戸建て不動産のプライベート・エクイティ・ファンドを共同経営中の中山道子です。思えば、対米不動産に伴う自分のキャリアは、2003、2004年あたりの「黎明期」にスタートしましたが、その後、環境の変化を経て、現在に至ります。
この10年強の間に、円が80円から急に120円になるという状況も、過去には生じました。それが、2012年から2015年の時期です。
しかし、今回の120円からの150円への展開は、マクロ事情が異なるのか、日本の個人投資家は、前回と異なり、【リスクオフ】モードに一挙に突入した感があります。
私の個人ベースのビジネスでは、2013年から2015年の円下落期でも、日本在住の新規顧客様が減った記憶はありません。それに対し、今回は、2023年以降、お問い合わせがあっても、皆様、円が戻ったら、、と自信がなさげです。
当初、日本人の対米投資のためにブログをしてきた私ですが、当時、すでに顧客様は、半分が日本国外の方々になっていました。ただし、自分ひとりでやっていたので、ブログでの日本語での営業が前提であったことに変わりはありません。
しかし、2022年以降、日本在住者様をメインのターゲットに新規顧客開拓を続けることにはそれほど意味がないということを肌で感じるに至りました。そのため、現在は、米国人のこれまでの仕事仲間と一緒に、米国人向けのファンド経営に着手するに至っています。
もちろん、既存の日本人顧客様とのお付き合いがあっての私です。そこは大前提で変わらないのですが、単に御新規様は、米国人相手の営業とならざるを得なくなったということです。
自分だけの生計のことなら、別段ガツガツすることもないのですが、いつまでも、自営でひとりでほそぼそやっているだけでは、既存の投資家様も、「中山さんが入院でもしたらどうすれば?」とご心配がつきませんし、また、米国の仲間たちと一緒に侃々諤々やっていく起業は、とにかく学びがあり、私にとっても刺激のある得難い生活となっています。
最近の円安が長引く中、「円安って大局的には、日本にとっては、都合がいいよな」とつくづく感じるにいたり、個人的には残念な気持ちながらも、日本が今後、国内により目を向けることになる必然性を噛み締めています。
■ 円安は、政府筋にとってはニューノーマルの政策なのでは?
円が安いことが、メリットになるこれだけの理由
■ 企業はめちゃくちゃ儲かる。海外進出比率が高い日本の企業は円安のおかげで、海外の利益が倍増中
■ 年金も半分は海外資産。これも、額面値上がりの上、ポートフォリオ中の日本企業も儲かっている!
■ インバウンド需要という新しい産業が生まれた!
■ 米中ブロック化の中、TSMCの九州進出を始めとして、日本は西側諸国の工場に戻れる?
困るのは、消費者だけなのかもしれません。海外旅行も、留学も、まあ、行きにくいですよね。
しかし、消費者と言えども、年金生活者は、消費者としてのみならず、年金受給者としての立場からすると、メリットがあるということが言えますし、低収入にあえぐ労働者は、リスキリングさえする気であれば、観光産業のほか、外資の工場などの働き口が見つかることになるかもしれません。
日本政府や日銀は、もちろん、「円安が嬉しい」とは絶対言いませんが、ざっと見ても、これだけのメリットが、素人の私にも見て取れます。
米国も、「円安が進みすぎるのは気に入らない」とは言っていますが、しかし、実際には、外資が中国から引き上げ、米国に来ないのであれば、台湾、ベトナムやカンボジアに行かれるよりは、日本に行ってもらったほうが、安全保障上、意味があるというのが本音かもしれません。(“friendshoring“)
もちろん、現在の円安は、米国と日本の金利差(プラスインフレ率の差を勘案)が大前提なので、米国が今後金利を下げ、日本が金利を上げれば、円が〈戻る〉という可能性を指摘するエコノミストもいます。
しかし、大局的には、過去30年動かなかった日本経済が、インフレや弱い円という環境の中、動き始めているのだとしたら、日本にとっては、やはり、円安、円の切り替えは、暗黙の公定路線化してもおかしくないだろうなと素人の私は思っています。
個人レベルでの日本在住者様は、皆さん、海外投資は、日本円ベースのインデックスファンドを中心に、より手軽に着手できるようになったので、その意味では、海外投資自体は昔より広まっているのかなと想像しますが、米ドルの直接投資に踏み切るには、昔に比べ、大変な勇気が必要な時代になりました。
■ 対米投資に着手してくださった私の投資家様は、今後も米ドル資産を大切に
これまでの間、私とご一緒に米ドルポートフォリオを増やされてきた日本在住者様には、心より御礼とお祝いを申し上げます。
もし、円が元の水準に戻ることが難しくなれば、今後米ドルを新規に購入するのは、なかなか難しくなりますので、引き続き、ご一緒にポートフォリオの成長を楽しんでいただき、必要なライフイベントがあるときにのみ、現金化をされることをおすすめします。
■ 今後円が〈戻る〉かどうか?
私は、どちらかというと、コンサバなシナリオを描いて準備するのが好きなので、ここでは、円は、もう、昔の水準には戻らない前提で、日本は、ニューノーマルなステージに躍り出始めたのだと判断しています。
円安が続いても、大局的には、日本国内生活者にとっては、新しいマインドセットで行動をすれば、新しい波に乗れる可能性が大いにありそうです。
非正規だった方は、正社員になる機会が増えており、良い企業に勤めていれば、給料が上がっていることを体感されているかもしれません。
他方では、短期的に、ドルがご自分の目標値になるようだったら、個人投資家としては、機会を逃さず購入することも意味があると思います。
私のファンドの年率リターン目標は、年率10%以上ですので、この前も、ある方に、「10%位安くなれば、ドルを買える、という程度の話なら、早期着手をしていただいてもいいと思います」とアドバイスを申し上げました。
いくら国内生活が豊かに感じるとはいっても、たまに海外旅行をしたり、お子さんの留学がサポートできないというのでは、つまりません。年金機構同様、皆さんの資産についても、海外資産と国内資産のバランスを考えるべき。
ご自身のポートフォリオの構成、どのように考えていらっしゃいますか?必要があれば、いつでもご相談くださいね。