要修理物件の転売とはどんなビジネスモデルでしょうか


「アメリカ不動産投資で資産倍増中!」
ブログ管理人の中山道子です。

この記事では、私の経験に即して、フィックスアップ案件への投資とはどういうものかというお話をします。

不動産で

FIX UP

というと、修理をするという意味です。

これから転じて、

FIXER UPPER

という言葉もできました。要修理物件という意味です。

不動産の広告を見ていると、

NEEDS TLC

といった表記があることに気が付かれる方もおいでかもしれません。これは、

TENDER LOVING CARE

つまり、「ケアしてあげなければいけない」という意味で、これも、修理が必要であることを意味する業界用語です。

こういうフィックスアッパーの物件を修理し、転売するのが、不動産投資家の中でも、転売屋さん。転売業に従事するタイプの投資家については、修理(REHAB)をする人、という意味で、REHABBER といった呼び方もします。要修理のFIXER UPPERを買い、修理をして転売する手法は、FIX AND FLIP と呼ばれます。

最近リフォームをテーマとするテレビ番組もたくさんありますが、HGTVというケーブルネットワークでは、まさに、要修理物件をリフォームして転売するカップルが主人公となる”FIXER UPPER”というタイトルの実録番組をもう5年もやっています。(下の番組紹介サイトですが、米国外の方は、ビデオはご覧になれないかと思います。)

HGTV FIXER UPPER

私自身、2011年からフィックス&フリップ案件には投資をしてきました。

実績がある不動産業者さんでも、銀行は、短期転売案件には融資をしません。

ビジネスモデルがリスキーであるという認識があるのですね。

フィックス&フリップの原理は、

 

  1.  割安で、要修理物件を購入する
  2.  修理をする
  3.  すぐに売りに出し、利益を確定する

 

という単純なものですが、問題は、いろいろありえます。

 

  • 競争が激しく、良い値段で要修理物件を仕入れるのが大変
  • 多くの資金が必要なビジネスモデルである
  • 修理代の見積もりで正確を期するのが困難
  • 思ったより安くしか売れないことがある

 

などなど。

要修理案件の転売では、こういうすべてのプロセスを毎回コントロールすることは、大変難しい反面、参入障壁は低く、誰でも着手できるので、銀行としては、「案件の精度を審査することは、自分たちのビジネスモデルにおいては、現状、困難」と判断しているということかと思います。

ビギナーのフィックスアンドフリップには、大きな危険が伴いますが、ノウハウがある業者さんも、ビギナーと一緒くたにされてしまい、資金回転の問題を抱えることになるため、ベテランの修理業者さんを見つけ、こうした業者さんの案件にだけ、融資をすることで、リスクをコントロールし、利益を最大化するニッチビジネスが生まれる土壌ができるのです。

貸す方も、そのため、金利は、「他所では貸さないリスクのある融資である」ということで、高金利になります。

こうした背景の他、市場の在り方によっても、金利が異なります。

今はわかりませんが、しばらく前に、ハワイの不動産業者さんに聞いたところでは、ハワイでは、こういう投資をしても、金利は、私が期待している金利の半分くらい、6%程度だということでした。

これは、「ハワイは優良エリア。地元の案件なら、自分も監督しやすいから、積極的に貸したい」と思うお金持ちがたくさんいるということなのかもしれません。融資をしたいと思う投資家がたくさんいれば、融資の金利は、ぐっと下がるわけですね。

以上の状況に鑑みて、高金利で修理業者さんのフィックスアップ融資に投資する場合、案件の審査、貸す相手に対する審査を両方、相当慎重に行う必要があります。

細かい話は、ノウハウになるので、ここでは、これくらいにしておきますが。。。

私が今提携しているフィックスアップ業者さんとは、2013年からのお付き合い。それ以来の実績に基づく成長の結果、2018年現在では、年間300万ドルの総融資枠を設定してあります。

ハワイやカルフォルニアで、300万ドルを投資するといったら、数件のプロジェクトにしかなりませんが、中西部では、これで、20件から30件のプロジェクトが同時進行させられます。

業者さんにとっては超高金利のビジネスローンであるPRIVATE LENDING(私人間融資)のメリットは、それでも、以下のようなものがあります。

 

  1.  チャンスを逃さず、すぐに資金を用意してもらえる
  2.  市場の成長に応じて事業を拡大も縮小も簡単

 

1)を検討してみると、不動産で割安で良い物件を買うためには、「実弾」つまり、現金決済が必要。普通の物件売買は、「銀行の融資が取れたら、買いますねー。でも融資審査が落ちたら、買えないですけど、それでいいですよねー?」というもの。

それに対し、私達の融資を前提に物件を購入する場合、修理業者さんは、「お金は手元にありますので、いつでも決済できます」と売り手に言えるため、売り手は、「それなら割引しますよ」となります。競争が激しい銀行の差し押さえモノ処分セールの場合、「現金決済をオファーする人にしか売りません」なんていうこともよくあります。

2)も同様に大事で、転売業者さんというのは、市場の変動に左右させられる仕事であるため、「景気が良いときは急成長し」「景気が悪くなればもう辞める」位の覚悟が必要です。こういう機敏な行動をするためには、割高でも、後腐れのない関係で単発プロジェクトごとにお金を貸してもらうのが一番楽だということになります。

私が現在提携している業者さんは、それなりに資産家なので、数件のプロジェクトなら、自分で資金を用意できますが、グループ内で、不動産売買仲介、賃貸仲介、銀行ローンブローカー業、修理業、保険エージェント業といった不動産関係の事業がいくつもあるため、フィックスアップのプロジェクトが1,2件だけではなく、同時進行で随時数十件できると、全体、より賑わうということで、「案件を同時並行でできるだけ多くやりたい、そのためには資金調達コストはそれなりになってもいい」ということを常々言っています。

彼らのビジネスを見ていると、すべての案件で、大きな利益が出るとは限らず、当方をはじめ、各方面に支払いを済ませると、修理転売による純益が、最悪、半年かけて、5,000ドル位にしかならないようなケースも実際に出ているということです。

やる案件が全てそういう戦績ばかりだと、会社として、営利目的で、ビジネスに乗り出すほどのメリットがあるのか、疑問ですね。

しかし、彼らに言わせると、

 

  • どんな案件でもすぐ買います、と広告すると市場の信頼が勝ち取れる
  • 下請け業者に常時仕事を投げて忠誠を買うことで良いサイクルができる
  • 関連事業でも売上が立つので、企業グループ全体としてはもっとプラスになっている
  • そういう経験を積む中でよりホットなエリアがいち早くわかる
  • そこから、ホットなエリアに集中すると、売却価格がコントロールできるところまでいく

 

といったメリットがあるそうです。なので、小粒でも、マイナスにならない限りは、どんどんやる、といいます。

いわば、日本のマーケッティングでよく言われる、”ランチェスター戦略”とでも言うべきストラテジー(市場占有率を高めることで自社のビジネスを有利に持っていくことができるという理論)ですね。

彼らは、こういう広域戦略で、2016年、2017年には、ミシガン州のデトロイト首都圏近隣エリアを多く取り上げ、きちんと実績を出してきました。

そして、2018年には、今年は、郊外より、デトロイト市内のほうがずっと売上が上がるようになったという申し出があり、市内の修理案件へとシフトしています。

この間、あまり儲からない案件もあっただろう反面、1件で5万ドル、10万ドルといった利益が取れるホームラン案件もいくつも出ています。

来年いっぱいくらいはデトロイト市内案件を手がけ続けるでしょうが、市場がクールダウンする兆しがあれば、別のエリア、別のタイプの投資にシフトするようにということを普段の電話会議でも、お互い確認しあっています。

最後に、お金を借りるなら、誰から借りても同じなのではないか、1%でも安いところを選んで借りるのではないかとも思うところですが、どうして、わざわざ、私のグループに、毎回、申込みをしてくれるのでしょうか。

この提携業者さんは、こういいます。

「自分は、遠隔のみならず、地元にも、多くのアメリカ人投資家の知り合いがいて、短期融資を依頼できる相手は、百人単位でいるが、MICHIKOと、ビジネスがしたい、他の投資家には電話したくないのだ」

これは、どうしてこう思ってくれるかと言うと、以下の理由が大きいそうです。

 

  1.  私のグループは、対応が早い
  2.  やり取りが効率的
  3.  必ず決済できるという信頼
  4.   契約を守る、トラブルを引き起こさないという実績

 

米国側の人間が、私と付き合うことで、事業が効率化し、新規ビジネス開拓に集中できる、他の人、普通の米国人投資家と付き合うより、効率的にビジネスができる、信頼関係がすでにある、そう感じてもらうところまで来ると、基本、私の立場が相手にとっても最優先となり、私の投資家様にとっても、メリットは多いと感じています。

私自身のモットーとして、現地のブローカーや投資家との付き合いで、特に一番気をつけているのは、「必ず決済する」こと。

融資をするすると言っておきながら、お金が用意できないとなると、相手の仕入れに一番差し障るので、、、

過去には、稀に、「投資案件を紹介してください」と言ってこられた方が、決済日前日に、「家族に反対された」などといった理由でご送金を急に断ってこられた経験もあります。あまりに土壇場すぎて、他の投資家様にお願いをする時間的余裕が無い場合は、自分の資金を振り込んで解決してきました。

お客様にご紹介する投資案件は、「自分自身が投資をする」という姿勢で審査していますし、大体いつも、投資家様に案件をご案内することを優先しているため、自分の投資資金は、どうせ、普通預金口座に寝かせていることが多いので、、、

他方、資金を投資される日本の投資家様との関係で、一番気をつけているのは、トラブルの種を蒔かないこと。

契約の内容を丁寧かつ確実にご説明し、「えっ? 聞いていないけど?? 話が違うんだけど?? 」といった誤解、問題を起こさないことが、投資家様の信頼を得るためには、最重要事項だと考えております。これについても、「自分が投資をするのだったら、この情報がほしいだろうと思う」という目線を大切にしています。

「要修理案件の転売とはどういうビジネスモデルか」というのが記事のテーマですが、それにあたって、私がここ6,7年間の間の経験で学んだ要修理転売投資ビジネスのあり方というものを、私の経験に即して、ご紹介してみました。

その際には、現地で実際に修理にあたる業者の観点、また、そうした業者に資金調達をする側の立場、両方の観点から、コメントをしてみました。

 

この記事の要点

フィックスアンドフリップとは、要修理物件の短期転売のこと。

これは、リスキーなビジネスモデルであると一般に認識されている。そのためもあって、銀行は、実績ある業者、与信の良い事業者に対してであっても、フィックスアンドフリップとなれば、融資はしない。

こういうビジネスに融資をする側としては、リスクをコントロールするため、信頼できる実績がある業者を探し、審査・提携するというプロセスが大変重要であるのみならず、そうした優秀な業者さんに求められるパートナーとなるために、自分自身、不動産投資家として、経験・実績があることが必要になる。

 

付記 冒頭に使った写真は、2016年に手がけたデトロイト隣接ディアボーン(DEARBORN)市の短期転売物件の修理中の写真です。2016年1月に7万ドル弱で購入、私のお客様が、修理代を含めて、合計、10万5,000ドルの融資を行い、なんと、2016年5月には、17万ドルで売却できました。下のリンクから、公開情報がご確認いただけます。

5060 Williamson St Dearborn, MI 48126

下は、該当物件修理中の写真を動画形式に編集しなおしたFB投稿です。