デュー・ディリジェンスとは アメリカ不動産投資編

アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログの中山道子です。2007年から、米国不動産についてのノウハウやニュース、投資情報をお届けする無料ブログを運営してきました。当時は副業的に始めた米国不動産投資ですが、その後、資産運用だけで生活をするセミリタイヤライフに入って現在に至ります。

米国不動産における購入前の注意事項、デュー・ディリジェンスとは

◇ 建物検査
◇ 名義調査
◇ 管理組合規則の調査

などを指します。

日本の不動産関係者は、「デューディリ」という言葉をよく使いますね。米国では、due diligence ですが、実は、それほど一般的に使う言葉ではないです。

ここでは、全米不動産協会(NAR)の記事を参考に、どのようなものが、米国の中古売買における事前購入時に必要になる調査(「デューディリ」)と考えられているのかを確認しましょう。

参考記事
What Is Real Estate Due Diligence? Find Out What to Do Before Buying a Home

第一には、建物検査。PROPERTY INSPECTION ですね。

米国では、物件が売買されるときには、ほとんどの場合、専門の資格がある PROPERTY INSPECTOR に一般的な建物検査をしてもらいます。

要点をチェックリストにして、それらについて可否を確認し、必要なら、コメントがもらえるするようなイメージ。

ただ、どのような瑕疵でもすべてが100%発見できるわけではありません。

例えば、雨があまり降らないエリアで、建物検査をしてもらい、無事物件を買った。しかし、10年に1度の大雨があり、屋根が漏れることが分かった、なんていうことはありえます。

というのも、建物検査は、ざっと見を確認するだけなので、雨が降る毎に水漏れがしているような屋根なら、屋根裏から見ただけで分かるために指摘してもらえるのですが、過去にほとんど雨が降らないエリアで、「雨のテスト」を受けていない屋根に<初期不良>があるかどうかといわれると、よほど大きな穴が開いていて日光が差し込んでいたといったレベルでない限りは、建物検査士にも、わからないわけです。

第二が、名義の瑕疵確認。TITLE SEARCH と呼ばれるプロセスです。

名義は、米国では、タイトル( title )というため、売り手の名義にキズがないかを調べるプロセスを、タイトル・サーチというわけです。

不動産協会のサイトに掲載されているような一般仲介物件で、売り手が実際の所有者でないというケースは普通は考えにくいのですが、投資家を長くやっていると、一般流通していないような物件を扱う場合のほうが多く、名義の確認が、重要になってきます。

私が過去に関わった事例をご紹介してみましょう。

あるご夫婦が、共同名義で物件を持っていたところ、離婚。その時に、きちんと財産分与を経たのにもかかわらず、奥さんの名前を物件名義から外すことを忘れていたというのです。

離婚後数年たち、ご主人が物件を担保に差し出し、当方に短期のつなぎ融資を申し込んできたのですが、タイトル・サーチをしたところ、なんと、「前の奥さん」との共同名義のままでした。

この場合、「前の奥さん」に、「自分は権利を放棄する」という旨を一筆入れてもらう必要があります。

ところが、どうも、険悪な関係が続いていたらしく、前妻の方は、法的にはサインをする義務があるはずなのに、決済予定日までにサインがもらえず、結局取引はダメになりました。

ここまでもめてしまった場合は、ご主人は、元奥さんに対し、裁判でも起こして、「元妻には、もう権利がないことを確認する旨」を認めてもらうようなプロセスを正式に経なければいけなくなるかもしれません。

名義瑕疵調査は、正式な契約に入った段階で、タイトル・エージェンシー(TITLE AGENCY)という司法書士のような専用事務所で、お願いすることになります。

最後が、管理組合の規則確認。HOME OWNER’S ASSOCIATION(HOA)です。

管理組合というとマンションを思い起こしますが、米国では、マンションの区分所有を買う場合だけでなく、一戸建てであっても、築浅の高級な案件の場合、管理組合がある場合が増えています。

いわゆる、GATED COMMUNITY(セキュリティ・ゲートが設けられていて、出入り制限がある計画的な開発区画)などですね。

というのも、ここ数十年にわたり、大手デベロッパーが、「エリア全体を土地取得し、広い面積にわたり、大掛かりな分譲を行う」という売り方が盛んになったから。

その場合、サイズ的に、小さな町くらいのサイズのエリアが、単一デベにより独占的に開発分譲され、敷地内の道路や公園なども、すべて、公道ではなく、共有部分として共同管理が必要になっています。

アメニティ的にも、居宅の近くに、クラブハウスやプール、テニスコートなどが、設置されていることが多いです。

そのため、マンションを買うときのみならず、既存コミュニティ内で物件を買う場合、一戸建てであっても、管理組合に加入し、組合費を払う必要があるというわけ。

米国では、こういうところに家を買った場合、管理組合のおきては絶対的で、家の外観や使用方法についても細かくチェックが入ります。

例えば、「外観の改装をする際には、事前申請と許可が必要」とか、「居宅内で商売をしてはいけない」とか、面倒なルールに苦しめられている人たちは多いようです。

小さめのマンションの場合は特に、管理規約に、「福祉受給者に賃貸してはいけない」とか、「賃貸経営をしてはいけない」、今はやりの「AIRBNB(民泊)を経営してはいけない」、といったようなルールがあることも多いでしょう。

そのため、組合がある場合は、組合が訴訟を抱えていないか、また、投資や居住目的に適合的な規約であることを確認することが必要です。

この記事のまとめ

米国不動産、物件購入時には、適切なデューディリが必要。

建物検査、名義瑕疵調査、組合規約確認が、全米不動産協会のいう3本柱です。

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