21年第二四半期、修理案件転売業は辛いよ

アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログの中山道子です。

フィックスアップ(fix up, fix-up)といえば、アメリカ不動産に詳しい方は、すぐわかるかもしれません。不動産を修理することを言います。統計上、短期間に物件を転売するケースを、「短期フィックスアンドフリップ」、つまり、「要修理物件の修理後の短期転売」と位置づけます。

今日紹介するのは業界のフィックスアンドフリップレポート(アトム社、2021年7月)。第一に、2021年、昨今の物件数減少、高騰ぶりを反映し、2000年以来最低件数が短期修理転売と判断されました。全取引中の2.1%、100軒にたったの2軒です。

景気等に敏感に反応する業界ですが、平時なら、平均、5%前後が普通ですので、パンデミック下の困難を示しています。

同時に、粗利も下がりました。購入価格と売却価格の差で見ると、平均63,500ドル。これは、修理代などのコストは全くは計算に入っていません。統計上調査のしようがないからです。ということで、粗利益率で見ると、2017年以降、下がる傾向。

調査対象期間中、もっともフィックスアンドフリップが盛んだったのが、

Memphis, TN (8.7%)
Phoenix, AZ (8.1%)
Nashville, TN (7.7%)
Tucson, AZ (7.6%).

の4都市(100万人都市のみが調査対象)。取引される物件のうち、1割に近い案件が、短期転売されました。

統計上、投資家は、物件を、16万8000ドルで購入し、23万1,500ドルで売却し、6万3,500ドルの売却益を得た、といった感じです。(37.8% ROI)

昨今の中古物件売買価格が平均して30万ドル台であることを考えると、「老朽化した古い居宅を、物件価格がそもそも安い都市でフィックスフリップする」ビジネスモデルが典型的であるのかと思われます。つまり、居宅ストックが古めのエリア、新築供給が足りないところ、物件価格がとにかく低いエリア、といった環境がある場合ですね。

この一般論に対し、フィックスアンドフリップで最も利益率が高かった都市は、

Oklahoma City, OK (ROI of 196.4%);
Fargo, ND (185.7%);
Pittsburgh, PA (154.2%);
Omaha, NE (135%)
York, PA (115.1%).

で、オクラホマシティでは、なんと、16万8000ドルの物件を買って修理したとすると、それが、実に32万9,952ドルで売れるということになります。

以上、興味深くもありますが、フィックスアンドフリップ統計は正確なものとは言えません。大体の傾向を見るわけですね。

私は仕事柄フィックスは色々見ますが、この2年の傾向は、ニュース報道されている通り、原材料の高騰と、人手不足。修理してほしいのにクルーが集まらない、あるいは、クルーに、「ホーム・デポでこれこれを買ってくれ」と言っても「そんな混んでいるところに行くのは嫌だ」とか、「行ったら、原材料が足りなかった、高騰していた」といったありとあらゆる残念シナリオがプレイアウトされています。

短期転売は、一見、オイシそうに聞こえるかもしれませんが、私個人は、フィックスアンドフリップで大きくお金持ちになるケースは稀だと感じています。要修理物件を購入し、収益物件に仕立てること自体には、大きなメリットがあるので、長期ホールドできる場合は、そのほうが、長期資産形成にとっては意味がありそうですが、どちらにしても、遠隔の副業投資家が試みるべき投資スタイルではありません。

2019年に統計を取り上げた記事は、下から御覧ください。

https://usa-rei.info/are_flips_safer_/

アトム社のHPはこちらから。

https://www.attomdata.com/