アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログの中山道子です。
この記事の概要
外国人が多く投資をしている市場では、直近の外国人投資総額大幅カットの波及効果にご注意。
米国内の資料だけを見ていると、不動産への実需ニーズは高く、家が欲しい人は買えていません。また、銀行の融資は、今、固い人にしか出しておらず、不況時のデフォルトの可能性なども低そう。新築軒数も増えていない中、米国不動産は底堅い、、、そういうことを過去に書きました。
2018年9月 米国レジデンシャル不動産市場の展望 価格高騰の理由の一端は新築供給不足にあり
しかし、この前発表になった全米不動産協会の資料を見てびっくり。
Profile of International Activity in U.S. Residential Real Estate
不動産協会の調査によると、外国人の買い手は、2017年を頂点として、最新の購買推定額は、2年で、当時の半分になったそうです。
「この状況で、まだこれだけ買うなんて、やっぱり中国人、よほど自国にお金を置いておきたくないんだね」
という関係者のコメントを読みました。
下がランキング
米国で不動産を買う外国人トップ5
China ($13.4 B)
Canada ( $8.0 B)
India ($6.9 B)
United Kingdom ($3.8 B)
Mexico ($2.3 B)投資先トップ5
Florida (20%)
California (12%)
Texas (10%)
Arizona (5%)
New Jersey (4%)
そもそも、「外国人」とは、誰かというと、ここでの定義は、
◇ 米国外に居住している人
◇ 最近米国に居住しだした人
例えば、「中国人留学生の親御さんが、大学の近くにマンションを買う」「毎年、カナダから、アメリカで冬を過ごすリタイヤ夫婦が、フロリダの別荘を買う」といったようなケースが典型的なのかと思います。
ここ2年ほど、中国人学生の米国留学傾向が下降気味とか、関係者のビザ・トラブルが増えているとか、そういったニュースは、確かに目にしていましたが、、、
China Issues Warning to U.S.-Bound Students
米国中古不動産市場における外国人の比率は、全米レベルで見ると、5パーセント、8%といったものなので、全体的には、大した影響はないのですが、問題は、外国人投資が、一部のエリア、州に集中していること。
数字を拾ってみると、
◇ 2割が、フロリダへの投資をする
◇ カナダ人の42%がフロリダで物件を買う
◇ 12%が、カルフォルニアで物件を買う
◇ 中国人の34%が、カルフォルニアで物件を買う
といった感じ。
トップ5か国の目標エリアは、下の通りです。
外国人の購入が、中古売買取引に占める比率は、最新の2018年4月から2019年3月までの1年の間に5%と高くないのですが、なにせ、2年前は、これが8%。純粋な取引額からみると、2年で半分への落ち込みというのは半端ない変動率です。
この層は現金買いが多く、母体の4割、米国人の二倍の確率で、現金で買います。また、ビザを取得していない在外の外国人は、実に6割が、現金で買います。
全米レベルで見ると、この層は、20万人前後と、大変小さい層なのですが、外国人が多いエリア、郵便番号では、数百軒、数千軒単位の売買に対し、5%より、大きな影響を及ぼす可能性があるかもしれません。
ちなみに、日本人の国際的な存在感はここでも大変下降。そもそも、ランキング上、上位9国中、日本は、出てきません。また、日本人に依然人気のハワイも、カナダ人にとって第三位の購入先ではあっても、それ以外のバイヤーにとっては眼中に入っていません。
今後、世界経済の不透明感が増していく中、この数字がさらに下がっていったり、購入側から売却側に回るなどの動きがあるのか、興味深いところですが、大体、この層の動向については、年次集計程度で、リアルタイムのより詳細なデータが見られないのが残念です。
この記事のまとめ
民主党政権から共和党政権への交代を反映してか、米国の外交戦略の変更や、世界的な経済成長の停滞の兆し、中国における資金の海外への持ち出し制限などの要因が重なり、外国人の米国不動産市場への投資傾向には、ブレーキがかかり始めました。