2020年4月、米国不動産市場に融資引き締め!

アメリカ不動産投資で資産倍増中ブログの中山道子です。

2020年4月、大量失業時代を迎えたアメリカでは、住宅購入にあたっての融資引き締めが始まりました。

アメリカの消費者は、借金まみれですが、「借金は悪」と思っている人も、一定数います。

国際的にはほぼ無名だと思いますが、DAVE RAMSEY さんというマネー・グルーがいて、この方は、ラジオから出発した「借金(マインド)から抜け出すお手伝いをしてくれるマネー・コンサルティング」で有名です。

彼は、若いときに、大いにレバをかけ、不動産投資で多大な成功を収めたところ、融資を受けていた銀行からの貸し剥がしに会い、破産します。きちんと契約を守り、返済はしていたというのに、、、

【貸し剥がしとは、銀行が、急に、融資資金を引き上げること。理由は、色々あり、銀行の合併による融資方針変更程度のことで、元本の繰り上げ返済要求になりえます。現在アメリカでは、不況時の銀行の経営上の理由で、数多くの商業ローンが貸し剥がしにあっています。ただ、住宅ローン(RESIDENTIAL)については、消費者保護の対象になるので、流石に貸し剥がしはありません。】

その後、デーヴは、「もう借金をしない」と決め、不動産投資においても、現金主義となり、クレジットカードすら、用いません。

また、これらの体験を前提に、「レバをかけるな、クレジットカード返済地獄から抜け出るには節制と所得アップだ!」と広く訴え、大きな成功を収めています。

彼の番組の「お金がたまらなくて困っている消費者が、電話相談をしてくるコーナー」が、失礼ながら、外野には面白くて、私は、一時、YOUTUBE で相当ハマっていました。

アメリカ在住であっても、COASTAL な方々は全く知らない世界だと思います。いわゆる、アメリカ・ザ・ハートランド・ワールドなのです。しかし、今の私なら、マネー問題初心者に対しては、国際的に有名なロバート・キヨサキさんより、お勧めすると思います。(但し投資アドバイスは無視でいいです。)

さて、不動産投資に戻ると、私も、大昔、ロバート・キヨサキさんや、ロバート・アレンさんの不動産投資論を読んで、最初、レバレッジは、かければかけるほどいいのかと思っていましたが、やはり、2008年の大恐慌以来、レバなしのほうが話がややこしくないと感じるに至りました。

今、ローンは、昔買った物件に一つ、11万ドルの融資が残っているだけで、子供にも、ポイントのために、クレジットカードを使うような人間にはなるなと教えています。【行動経済学上、カード利用で平均2割の支出増となるという研究がある。】

日本在住の方は、ローンの金利がめちゃくちゃ安いですから、「借りないやつは馬鹿」と思われるだろうと思います。日本では、通常、返済を数日滞るなどの事由が無い限りは、一方的な銀行事情に基づく貸し剥がしが行われる可能性は現在、少ないでしょう。

ただ、1990年代は、日本にも、貸し剥がしホットラインと呼ばれる相談窓口があったわけで、【現在、金融サービス利用者相談室へと統合】今後、地銀淘汰時代を迎え、政策や行政指導の内容が変われば、絶対ありえないとも言えないのかもしれませんね。

さて、アメリカの話に戻ると、アメリカ不動産でも、そんなわけで、圧倒的多数の投資家は、レバレッジ・バンザイの考え方です。

自分は借りるのは嫌いですが、借金が、一律悪いとは私も思いません。それでも、レバレッジをかける場合は、逆にマイナス・スイングするときが怖いので、どこかで、「ここまで」という線引をすることは、どなたにとっても、必要でしょう。

マイナスにブレる時とは、例えば、「家賃収入がストップするが、ローン返済は続くため、毎月の返済に当たり、自己資金の持ち出しが必要になる」とか、「物件の鑑定額が下がるが、ローン元本は高いまま」、といった「負の状況」に陥った時のことです。

順調な時は、レバをかけたら、頭金の IRR【INTERNAL RATE OF RETURN】 は20%とか30%とか、めちゃくちゃ高くなるわけですが、こういうアゲインストな状況になれば、普通にマイナス40、マイナス60%にと、倍に逆スイングするわけです。

ということで、今日のニュースが、「最近の米国では、居宅(レジデンシャル)不動産購入にあたってのハードルが、この4月以来、高くなっている」ということ。

これまでも、不動産業界は、2008年時の不況の背景があり、直近は、それほどの不良貸付はしていないと思うのですが、今回、銀行の融資条件が、さらに厳しくなったというニュースです。

Coronavirus is widening America’s wealth gap

一例は、【原則として、頭金2割、与信スコア700以上の方だけ】という方針を打ち出したJPモーガンチェイス。

別の例としては、ミシガンの FLAGSTAR 銀行の融資基準は、やはり上がってスコア640以上から。どの銀行も、「これまでの自社の基準を引き締め」しているということかと思います。

現在、金利は最低水準ですが、そのメリットを享受できるのは、スコアが良くて、すでに頭金、お金を持っている層のみ。

上に紹介した記事は、左派メディアのものなので、「居宅購入は資産づくり。貸し渋りは、低所得者層、非白人層に不公平だ」と批判しますが、過去の好景気時には、政権がテコ入れし、あまり資産がない方が多数家を持った結果、こうした層が、不況時に住宅ローンを焦げ付かせ、スコアを更に落としたケースも多いのです。

金融機関からすれば、とにかく、ロウアー層については、貸しても文句を言われる、貸さなくても文句を言われる、不安定な顧客層という位置づけ。適切かつ総合的な政府支援なしには行動できないというのが本当のところでしょう。

低所得者層向けの支援型融資プログラムというのも、こうした銀行には、一応、あることはあり、それらは、撤回されるわけではありません。なので、今回、むしろ損をするのは、アッパーにもロウワーにも、どちらにも属しない中間層なのかもしれません。

いずれにせよ、個人戦略としては、頭金2割くらいは、普通のヘッジ。これで家が買えない人は、無理しないでいいと思います。ただ、マクロに見ると、残念ながら、金融機関がみんなこういう融資引き締めを始めると、不動産の価値は確実に、伸び悩むことにはなります。

これまでのところ、米国の住宅市場は、供給不足が続いてきたので、この融資引き締め VS 供給不足のせめぎあいの中で、市場は動くことになるでしょう。一律上がったり、一律下がったりと言った時期でないので、投資先ごとに、細かく見ていきましょう。俊敏に動くには、現金買いという時代も、到来しそうです。

2020年春現在、コロナ不況に誘発され、不動産市場にとってネガティブな動きが続きます。4月は、金融機関の融資基準が一律引き上げとなり、一部金融機関は、貸し出し停止状況に陥っている場合があります。

レバのかけ過ぎはどんな状況でも危険なので、個人戦略としては、借金は、無理をするようなものではないと思うのですが、マクロレベルで見ると、この動きは、不動産の資産性については、マイナス要因となります。

このブログを読んでくださっている方にとっては、「ふーん」程度の感想かと思います。お互い、このまま、ノー・レバレッジや低レバでいいのです。