不動産長期保有型ファンド共同経営者の中山道子です。去年の8月にスタートしたファンド用のシード・ポートフォリオ(seed portfolio)、つまりファンド設立前のテスト・ポートフォリオの稼働状況をご報告します。
【結論:戸建てポートフォリオは、アンダーライティング(想定目標)通りに稼働中】
まずは、状況を振り返るところから。
去年11月に、居宅不動産のプライベート・エクイティ・ファンドを設立しましたが、その助走として、8月から、インナーサークルの投資家様にご協力を募り、下のポートフォリオを作ることができました。当時の目的は、まさに、「こういうことをやっていきます、やっていけます」という成功モデルを、小規模ながら、まずは作り上げることでした。
2024年、皆様のお陰で、
MTMA 1 戸建てポートフォリオ 9戸購入
MTMA 2 戸建てポートフォリオ 7戸購入(その後2戸プラス)
16701 GREENFIELD アパート物件 12戸
16721 GREENFIELD アパート物件 14戸
という4つの物件ポートフォリオ設立ができました。
一部、下の記事でご報告しています。
取得時に利益確定のそのわけとは!戸建て賃貸経営ポートフォリオ、2ヶ月でできたこと
そして、共同経営者のトッド・シルバーさんがエアテーブル(AIRTABLE)というクラウド型のデータベースをカスタム化した資料で、IR 資料ができはじめていますので、今日のこの記事では、その一部をお目にかけます。
下のリンクをクリックされると、エアテーブル資料抜粋、MTMA 1 の収支データがダウンロードできます。(面倒な方は、下の画像資料のみ御覧ください。)
Property Analysis-Operating NOI Actuals MTMA 1
下は、各物件が、稼働しだしてからのネット手残りキャッシュフローを表示したもの。右の数字は、「アンダーライティングで想定していたネットの手残り額」、そして、左側の数字が、現状です。
例えば、MTMA 1所有物件である HARVARD通り6190番地は、事前のアンダーライティングでは、経費支払い後手残り(NET INCOME)が、828ドルと想定したところ、現状、981ドルで稼働中。ハーバードの場合、スプレッドシートを見ると、家賃が入りだしたのが2024年12月なので、12月から直近6月までのネット手残りを平均で表示したのが、981ドルというわけです。
そして、MTMA1の合計ポジティブネットキャッシュフローは、現在、月額6,828ドルで、目標だった5,977ドルを上回っています。
つまり、どの物件も賃料自体が想定通り、家賃回収も順調と、今のところ、うまく進んでいるということですね。
ファンドの PROOF OF CONCEPT(概念実証)、購入時のアンダーライティングがきちんとできていたことは、立証できたかと思います。
【注意事項 実際には、1年半くらい経ってからの結果を待つ必要があります】
去年8月に購入した物件の多くは、12月くらいまでに賃貸が決まりましたので、まだ、ほやほや。実は、よりしっかりした検証をするためには、《賃貸が始まってから後の1年間の結果を均す》ことに意味があります。
理由はいくつかあります。
例えば、現在、プラスキャッシュフローが当初の目標よりこれだけ多い要因の一つは、「まだ、夏の固定資産税を支払っていないから」です。
物件を新規購入すると、市役所には、新たに物件査定をする権限が生じます。購入前の物件の固定資産税がいくらだったかは、参考程度にしかなりません。逆に、一度購入後は、年率上昇率には制限がかかるのですが、役所にとっては、税金を高くするチャンス。
デトロイトの固定資産税は、年二回、冬課税と夏課税があり、夏に、6割以上を払うイメージです。現在、7月1日に課税額が発表されるのを待っているところで、「これくらいになるだろう」というあたりはつけており、それが、アンダーライティングのネットキャッシュフロー目標数字に表現されているわけです。
ここで、8月に、夏課税を支払うと、この「購入前予想値より利益が出ていた状況」が、一転して、数ヶ月の間、「予想値よりパフォーマンスが悪くなる状況」に取って代わられることになるでしょう。8月時の一時支出額が大きいからです。それが最終的に平均化されるには、
「購入後、市役所が物件査定をしおわり、固定資産税がアップした状態の中、賃貸して1年間」
という期間を経る必要があります。さらに言えば、最初の1年目で出ていくテナントや、大規模修繕はあまり生じないわけですから、もっと正確に、全体の空室率や出入りの頻度、各種修繕費等を反映させていくことまで考えると、3年、5年といった累計資料が意味を持つことになります。
本来は、投資家様には、オンラインクラウド APPFOLIO で、細かい資料を、ほぼリアルタイムでご覧いただけるようになることが目標です。ただ、現在、管理会社のデータと当方クラウドのシンクロに苦心しているため、共同経営者のトッドさんが、ギーク(geek, IT技術に強い人)パワーを発揮し、エアテーブルで、独自のバックアップ資料を作り上げてくれているという状況です。
社内仕様なので、投資家様情報なども同じテーブルに計上されているため、ページごとの部分公開しかできませんが、管理会社の管理明細よりも、こちらのほうが一目瞭然で、わかりやすいところまで整理できているので、投資家様には、とりあえず、第二四半期のご報告は、この形式を使い、ご案内をさせていただくことになりそうです。
サムネイル画像は、大規模修繕案件となったWARD通り15765番地。予定通り、取得から3ヶ月で修理が終わり、現在、ZILLOWでも、掲載されています。
https://www.zillow.com/homedetails/15765-Ward-St-Detroit-MI-48227/88099519_zpid/
同じ物件とは信じられないくらいですね。下のリンクが修理前後の修理会社からの写真集です。
最後に、同時期、MTMA 1 後に着手した MTMA 2 戸建てポートフォリオ 7戸購入(その後2戸プラス)は、3月に購入した一戸がちょうど予定通りの6月末に修理が終わり、賃貸掲載に着手したところで、ポートフォリオとして、「去年から」といえないため、ここでは同列では扱わないこととします。詳細は、投資家様にご報告させていただきますが、当初の7戸は、MTMA 1 同様に順調に賃貸経営中です。