13歳のファイナンシャルリテラシー教育 不動産投資編

「アメリカ不動産投資で資産倍増中!」ブログ管理人の中山道子です。

この記事の要点

13歳の子供に、投資物件の遠隔管理の段取りを教えることにしてみます。

この写真の家は、ラスベガスに隣接するノースラスベガス市にあるちっちゃなもの。昔住んでいたことがあるのですが、その後、ずっと賃貸をしています。

大した資産価値があるわけでなく、資産活用を謳うブログでえらそうに取り上げるような家じゃないんですが、ビギナー投資家だったときに買ったまま、まだ持っています。

2004年に13万ドル台で買って、今、大体19万ドル位だと思うので、まあ、値上がりしたということになりますでしょうか。恐慌の頃には、要修理の質流れであれば、最低で8万ドルといった額になっていました。底値は、2009年でしたでしょうか。周囲の家をナンピン買いしておけば、そっちのほうが良いリターンになった感じです。

ただ、もともと、エリアが微妙だったことがあって、この物件があるサブディビジョン(subdivision 単一デベロッパーの販売区画。サブディビジョンごとに管理組合を作り、共有エリアを管理します)は、当時、フォークロージャーによる空き家が目立ち、我が家のテナントさんにも、いつ出ていかれるかとヒヤヒヤしていました。そのため、テナントさんの家賃は、相場より安く抑えてきました。

そんな状況でしたから、2009年の底値当時は、頭ではわかっていましたが、実際には、スワッ!と同じ敷地内の似た物件を現金で買うような気持ちにはならなかったんですよね。空室で持つはめになると、危険で、嫌ですから。頭一つ抜け出ようとするには、それなりの胆力が必要ってことですね。笑

脱線しましたが、今日の記事は、「この家を遠隔管理する段取りを、13歳の子供に教えてみることにしてみます」というお話。

優秀な管理会社さんがいて、テナントさんも、長年住んでいるので、手間というような手間はかかりません。

=== 必要な作業の概要

> 固定資産税の確認や支払いの手配
> 火災保険の更新の手配や支払い
> 管理組合から単発的な連絡が来た際のやり取り
> 管理会社から単発的な修理依頼の連絡が来た際のやり取り
> 管理会社からの家賃等収支明細のやり取り
> 銀行ローンの支払い収支明細の確認
> 年度末に税理士から来ている管理ファイル(エクセル)にすべてを計上し、税理士に送る

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などでしょうか。

単発的に、リストアップするのを忘れるような、細かい作業もあります。

この1年の間は、すべて一緒にやってみて、1年間の流れを学んでもらい、2年目から、子供の主体性に任せられるようになるといいなと思っています。

子供に学んでもらいたいことの目標としては、

■ 賃貸経営の1年の流れをなんとなく理解する
■ 申告のプロセスを経験させる
■ グーグルカレンダーやメールによる仕事のやり方を学ぶ

といった感じでしょうか。

少なくとも、子供が事務作業が苦にならないタチか、全然駄目なタチなのかは、これをやらせてみれば、数年で、ある程度わかることでしょう。。汗

今私は、実は、所持している物件数はもう少なくて、無精なんで、この物件も、本当は売ってしまったほうが楽だなとか、思っていたのですが、この前、ふと、

「そういえば、大した手間はかからないが、しかし、手間ゼロではないな。私にとっては、面倒なだけだけれど、子供にこの1軒を任せて、不動産管理の勉強をしてもらうというふうに使えれば、意味があるかな」

と思いついたことから、こういう流れになりました。

金銭教育については、ご家庭ごとの考えがあるでしょう。

私の両親は、古い考え方で、「お金の話をするのは下品」という意識。

父はウン十年間お役所に務め、母の実家からの援助があったため、私は、大変運のいいことに、何一つ不自由したことがありませんでしたが、しかし、お金のことは全く教わらず、30過ぎて自営を選んだ際には、逆に大変苦労しました。

今考えると、学生時代はお小遣いをもらい、20台にはサラリーマン・メンタルだったため、毎月決まった支出をしていくのが当然くらいな勢いでした。自営業者として資金繰りをするための意識に切り替わるのに、30台の間、ずっと、遅まきの苦労をした感じです。

今、そんな私も、投資家を名乗って15年以上になります。子供には、

「他所の家庭では別の方針が有るだろうが、この家から巣立つのであるから、ファイナンシャル・リテラシー教育、投資家修行は、学べるところまで、できるところまで、教えていく。」

と申し渡してあります。

欧米や日本ではもう流行りませんが、中国や東南アジアでは、今でも、近所の八百屋さんなんかに行くと、週末や夕方は、小学生が手伝いをしていたりします。アメリカの夏休みの起源も、もともとは、「農家は、夏、子供が働き手として必要だから」だそう。

自営の子は、(学業に差し障りない範囲で)家の商売の手伝いをして成長する、これが、サラリーマン家庭出身で、「親がどんな仕事をしているか、全くわからないまま育った」私にとっての理想です。

家計の話は、子供が11歳位のころから教えるようにしてきていて、12歳のときには、1年間にわたり、毎月、家計簿の入力をやらせていました。

なにせ、ウルトラ無精な私のことですから、支出管理が得意になった今も、普段は、家計簿なんかつけません。毎月いくら使うかは、銀行口座を見ればわかるだろう、その額がイメージ通りなら、問題ないだろうくらいのレベルの人間です。

しかし、子供に家計管理を教えるために、その時は、アプリをダウンロードし、レシートをすべて保存し、月に数回、入力をさせ、家計簿の付け方を学ばせました。

「それ以来、我が家では、ずっと子供が家計簿をつけていましてね」、と来れば、凄いのですが、そんなことはなく、子供も学校が忙しくなったりで、流れがわかるようになった頃には、私の無精がまた頭をもたげ、うやむやになってしまいました。

ただ、家庭まわりの支出に関連する金銭教育の効果はあったようで、子供は、お金をもたせても、計画的に行動ができるタイプ。スーパーにお使いに行かせても、値段を丁寧に調べて、ものを選んで来ることができますし、外食時や洋服を買うときでも、一番安いものを上手に見つけ、それに満足できるのです。

そんなわけで、見ていると、おいおい、自分で家計管理をするという段になれば、ちゃんとできるようになるだろうと感じる所まで来ています。

そのため、今は、毎月、「銀行の支出を見ると、今月は、これだけ使った。理由は、これこれが大きい、ここ数ヶ月の支出額はこんな感じ、平均は、これこれ。1年の支出計画はこれで、貯蓄計画はこう。今の所、余裕で達成できている」といったビッグ・ピクチャー的な家計分析の成果を、簡単に説明して聞かせるだけになっています。

さて、いち消費者として、自分の家庭の家計を守るためには、スーパーでのお買い物をするときに、1円、10円を大切にする気持ちを丁寧に学ぶところに意味がありますが、投資家になるためには、その次の、ちょっと違うレベルのお金との付き合い方を習得することが必要になります。

ということで、今回は、消費者教育・家計管理のその次のレベル(とはいっても、そちらも終わったと言うわけではないのですが)、いよいよ、「投資家としてのファイナンシャル・リテラシー教育プロジェクト」開始です。

重い腰を上げて、子供とのコミュニケーションに最近よく使っているエバーノートにメモを作り、必要な作業の一覧や関連リンク、添付ファイルを、まずはエバーノートのチャットで共有。

納税申告時を起点とし、基本、1年間ごとのプロジェクトで、インセンティブとしては、「納税前のネット賃料の2.5%を1年毎に、アカウント管理料として払う」(ただし、ローン支払い分は除いて計算)と説明しました。

というのも、我が家では、お小遣いという形式ではお金は渡しておらず、基本、何かに対してお金を払うようにしているからです。

この前、申し送りの最中に、早速、最初の雑用が見つかりました。

融資銀行に、直近の引越し先を教えていなかったので、用紙を取り寄せ、住所変更届けの作成をするというものです。取り寄せ自体は、登録メアドが私のメールアドレスなので、私がやりました。自分だけだと、こういうの、面倒で。ローンの返済は、自動引き落としなので、実は、半年間、放置してあった雑用です。

次に、取り寄せたフォームがPDF形式なので、子供に対しては、「無料のネットPDFソフトを使い、各種項目を記載、保存し直し、私にメール返信で送ってくれるよう」にと指示。

我が家では、こういう作業には、PDFESCAPE.COM をよく使っています。

書式の記入って、案外、面倒なんですよね。ローンナンバーを記入する項目があるため、ローンの明細も見せます。また、residential address(自宅)とcorrespondence address (郵送先)の違いを説明したりしました。

うちは引っ越しが多いので、こういうときは、納税申告をやってくれているCPAの事務所をビジネス住所に使うのが便利。ということで、なので、自宅には我が家、連絡先には、CPAの住所を書くように指示しました。

そんなこんなで、子供がちゃんと書式を完成できるまでに、実に1時間はたっぷりかかりました。書類の作成日を入れる箇所の見落としなど、細かいことも含め、4回、5回のダメ出しをして。。

その後、作成したPDFを私にメールをしてもらい、最後に私が融資銀行にそれをメールした次第です。

家事や料理を教えるのと同じで、教えるより自分がやってしまったほうが早いです。なのでフルタイムで外で仕事していたら、こんなやり取りは面倒で到底できないと思います。

今、私は在宅パッシブ投資家、子供は、ホーム・スクール中。時間の余裕があるからできることだと思います。

次の雑用も、もう決まっています。それは、「役所への届け出住所の変更」。

これに至っては、お恥ずかしながら、何年も前の住所のまま。こちらは、役所のサイトから用紙をデジタルで取得、記載後、プリントアウトして、郵送する必要があるようなことが書いてあるので、郵便局で切手を買って、封書を投函するところまでやらせる必要があります。

書式記入という「雑用係さん」から始まった我が家の「なんちゃってインターンシップ」、まだ、この物件にまつわる投資に関わる部分についての話は、当然、全くできていません。

しかし、考えてみると、取得時価格とか、今の相場の見方、賃料と投資リターン、レバレッジについて、ローンの金利、保険のオプション、役所の登記システム、ひいては減価償却など、この家の管理という切り口を使い、不動産投資について、おいおい、子供に説明できる「大人の社会の仕組み」は、本当にたくさんあることに気が付きました。

最近は余りやっていませんが、過去には、こういうことをご説明するセミナーもたくさんやっていて、とても好評だったのです。

学校に行っているだけでは、大学進学したとしても、こういうことは勉強する機会がありません。

このプロジェクト、私が、子供に対して、こういうことを教えようと考えることで、関心を持ってくれるようになるのか、あるいは、結局、計画倒れに終わるのかは、わかりません。

ただ、不動産なんて、医学なんかと違って、別段、大学院レベルの学力が要求されるわけでなし、用いる数学に至っては、小学校レベルで十分なわけで、適性や、努力する気持ちがあれば、着手に当たり、早すぎるという年齢ではないだろうと。

というわけで、とりあえず、”ダメもと”で、「我が家のファイナンシャル・リテラシー教育計画」を立ててみました、というお話なのでした。