直近のエリア動向を見るときには、在庫に注目しましょう

「アメリカ不動産投資で資産倍増中!」ブログの中山道子です。

投資エリアで、直近の価格動向をアバウトにチェックしたい場合は、在庫に着目してみましょう。在庫が少なくなっている状態が続いていれば、供給不足なので、価格は高くても、高止まりが続く可能性があり、在庫の量が増えてきている場合は、価格調整が入るサインかも知れません。

不動産関係のデータをたくさん集めるのが仕事なコアロジックという会社は、最近、よく、「不動産市場の殆どは高くなりすぎてしまっている」という事を言っています。

CoreLogic US Home Price Report Reveals Nearly Half of the Nation’s Largest 50 Markets are Overvalued

高すぎるというのは、同社の定義では、「該当市場において、長期サステナブルであると思われる価格より1割以上高い」ということ。

同社では、2017年の段階から、主要50都市の半分以上で、地元経済のファンダメンタルズ(例えば地元の給料水準に基づく可処分所得など)を前提にすると、物件価格は高すぎる、ということを何度も言っています。

レポートは有料なので、私は見ていませんが、一般公開された範囲で拝見すると、2017年のトップテン市場のうち、7つの市場が、「高過ぎ」のダメ出しを食らっています。

 

 

大丈夫なのは、サンフランシスコ、ボストンとシカゴだけ。

後は、ロス、デンバー、ラスベガス、マイアミ、ワシントン、ニューヨーク、ヒューストンと、いずれも、ダメ出しです。

高すぎるというのは、しかし、だから、バブルが弾けるところだといった結論とは直結しません。

同社も、2018年4月から2019年4月の間に、全米で、また5.3%の値上がりを予測しています。(去年の実績は、6.9%)

CoreLogic Reports April Home Prices Up, Washington State Increased 12.8 Percent

これはなぜかといえば、需要と供給。

昨日の記事でも言及しましたが、現在、新築が恒常的に供給が足りない状況なので、それが中古にも波及し、誰も物件を売らないのです。

今、5年前に買った家に住んでいる方がいるとして、その方が、家族構成が変わるなどして、家を買い替えたいと思っても、実情は、以下のようになります。

> 5年前に買った家 ⇒ 値上がりしている ⇒ ラッキー!
> 今買いたい家 ⇒ 我が家より更に高い!買い替えするにはもっとお金がいる!
> 仕方がないから今住んでいる家で我慢、リフォームでもするか、、、

誰しも、「今住んでいる家よりワンランクアップした家」が欲しいもの。

市場では、全ての人が、この状態になっているため、マイナスサムゲームのイメージ。

米国では、MUSICAL CHAIR といった言い方もします。つまり、音楽に合わせ、踊っている人が10人いるとすると、椅子は9つしか用意しません。音楽が止まった時、座る椅子を見つけられない人が負けるゲーム。

自分が今座っている椅子から立ち上がってしまえば、もう二度と、座れる椅子が見つからない、つまり、今所有している家を売って、利益になったとしても、その利益と今の貯金を合わせても、別の家を買える気がしない、そういう状態です。

こういう状態になっているかどうか、また、物件価格が下降を始めるかどうかについては、アバウトには、売買物件の在庫を見ることができます。

例えば、オーバーヒート、高すぎ市場の一つ、アリゾナ州フィーニックス市。

レアルター協会の資料を見ると、2018年第1四半期における中古在庫は、去年と比べ、5.4%ダウンしています。

あるウオッチャーブロガーのブログから整理された資料をお借りしました。下が、過去5年の毎8月の状況。

売れている物件は毎年8,000件位ですが、供給される物件数は、その倍くらいしかなく、2018年8月は、2017年8月と比べ、7.8%も売り物件が減っています。

市場があまりに売り手市場な状況、在庫状況が何らかの形で解決するまで、高すぎだろうがなんだろうが、当面、値段調整は、起こりようがないでしょう。

 

ちょうど、多くの市場の在庫状況と売却にかかる日数を比較した一覧表がありましたので、ご紹介します。

Housing Inventory Up In High-Priced Markets

こちらが、「今、在庫が増えてきている市場」

 

カルフォルニアの主要都市が結構掲載されていますね。しかし、「平均売却日数」も計算に入れると、サンホセで、26日、サンディエゴで35日、州都サクラメントは37日と、売れ行きは、早いです。そのため、売買件数は4ヶ月の減少を見ましたが、成約価格は、まだ下がるところには行きません。

ただ、地元では、そろそろ、買い控えの影響が出てきているんじゃないかということは言っています。なので、在庫が更に増え続け、しかも、成約日数が長くなってきたら、価格にも反映してくるのではないでしょうか。

California’s housing market falters for fourth straight month as high home prices take toll on demand, C.A.R. reports

また、実際には、在庫が足りない市場のほうが多く、下が、そのリスト。

私のグループは、デトロイトでフィックスアップをやっていますが、この DETROIT WARREN DEARBORN で、前年度比在庫減少率1%という統計はちょっとミスリーディングで、実際には、デトロイト市内で見れば、前年度比の在庫は、21.6%の減少を見ているというやはりウルトラホット、売り手優位な市場。去年まで、近隣都市でもフィックスアップをやっていましたが、今年は、デトロイト市がすごいので、集中しています。

Competition fierce for metro Detroit homes as prices rise

このように、個別の市場で、

> 在庫の数が、過去に比べ、減っていっているか、増えていっているか
> 売れるまでの掲載日数が、過去に比べ、減っていっているか増えていっているか

を調べることで、自分の市場の直近の傾向がある程度掌握できます。

多くの市場で、賃金等に対し、物件価格が高くなりすぎているという状況があるのは間違いないですが、現在の状況を見ると、多くの市場で、だからといってすぐに物件価格が、「コアロジック社が思う適正価格」まで調整していくだろうという気はしません。

もちろん、じゃあ、1年後はどうなるのかと言われれば、それがわかるわけではなく、今、こういう資料からある程度わかるのは、「この1年以内は、多くの市場でまだ堅調が続くのではないかということ」、ただ、今は、高くなりすぎた感があるので、「投資家にとっては、買い時とは言えないのではないか」、程度のイメージですが、とりあえずは、折りに触れ、在庫に注意してみてくださいというお話でした。

この記事のまとめ

自分が投資している市場の動向をウオッチングするためには、在庫に注目してみましょう。

今、在庫品薄が続いており、多くの都市では、当面、調整局面は見えてきません。投資家にとっては、特に買い時には見えないので、株式の方こそ、不透明感が増していますし、手前味噌になりますが、私の方でご案内しております1年単位での投資のご検討をお勧めさせてください。