在庫と価格の関係 全米ベースの参考資料 6ヶ月が分水嶺

アメリカ不動産投資で資産倍増中!ブログの中山道子です。

この記事の概要

米国の連邦レベルでの統計を見ると、市場が「買い手市場」になり、物件価格が下がっていくターニングポイントは、在庫的に見ると、「掲載物件数が、一ヶ月で売れる物件数の6倍」以上になる頃のようです。

別の言い方をすると、一般的に「在庫が6ヶ月分以上になってくると、価格調整が入る」ようです。

2018年も10月半ばとなり、もうすぐ2019年を迎えるところまで来ました。早いですね。

米国不動産市場の売買活動の度合いは、シーズン、季節ごとに大きく変わります。

一般論的に、よく言われる1年のサイクルが、以下の通り。

行事を睨んだ米国不動産の1年間のサイクル

  • タックスシーズン。2月以降、申告を済ませた納税者に対する還付(TAX CREDIT)が行われます。実際の納税額より大きいことも多いので、その還付を物件購入の頭金に当てることが一般的で、ここらへんから活動が盛んになり、ピークは、6月7月でしょうか。
  • 夏休み。6月以降9月上旬くらいまでに引っ越しを済ませてしまいたいという実需組のニーズのため、夏がピーク売買期間になります。
  • 9月半ば以降の沈静化。
  • サンクスギビング。11月第三週のこの頃までには、売買活動が相当下がります。一般的に、余剰のお金は、この時期からクリスマスにかけて、家族旅行やホリデーギフトなどに消費されると言われており、多くの州では、雪なども降るわけで、不動産取引にとっては、シーズンオフにはいり、バーゲンハンター向けの季節になります。

さて、しばらく前に、今、新築着工件数が伸びないなどの理由で、在庫薄のため、この問題が解決しない限りは価格が下がることはあまり予測しにくい、という話をしました。

直近のエリア動向を見るときには、在庫に注目しましょう

そちらで、ローカルな数字をいくつか紹介しました。

この記事では、全米レベルでのアバウトな連関を示すグラフがあったので、それをご紹介します。

グラフは、こちらの経済ブログから。

読み方は簡単で、下のグラフは、左から右にかけて、価格上昇率をケース・シラーインデックスでマッピング。左上のスケールは、在庫があと何ヶ月分あるかを示すもの。

例えば、ある市場で、物件売買が先月、1,000件行われていたとします。この市場で、FOR SALE掲載物件が3,000軒あったら、在庫は、あと3ヶ月分ある、ということになります。

ということで、このグラフを見ると、在庫が6ヶ月分以下になると、物件上昇傾向が確認できる感じがします。

一般的にも、「在庫が6ヶ月以上か、以下か」というのは、いわゆる

セラーズマーケット(売り手市場。売る側が強気)か
バイヤーズマーケット(買い手市場。買い手の方が立場が強い)か

の分水嶺とされています。

なので、そこら辺が、実際のグラフマッピングで1999年以降の価格の動きが在庫に反比例していることが確認できたというのは、大きな驚きはないものの、データとして、大変興味深いですね。

それで、肝心の直近市場動向は?

ということですが、全米不動産協会のレポートによると、8月の在庫は、4.3ヶ月だったそうです。

連邦準備銀行でもデータを提供しているので、それを参照するのが一番簡単かもしれません。

不動産市場が、大々的に価格調整に入るまでには、「在庫6ヶ月の分水嶺」を超える必要があるのではないでしょうか。エコノミストたちは、「2020年になる頃には、景気後退が生じるとしても、米国不動産がその原因になるとは思えない」と言っている根拠としては、こういった背景があるのかと思います。

この記事のまとめ

一般的なデータを見ると、不動産市場では、在庫が6ヶ月分になってくる頃に、価格が下がっていく傾向があります。しかし、これは、該当市場の具体的な状況に応じても変わる数字であることをお忘れなく。

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