ファイナンシャルリテラシー、統計上は、53歳がピーク!

中山道子です。

この記事は不動産とは直接関係ないのですが、より一般的に、高齢化の問題について。

私は今年55歳になるのですが、これは、統計的に言って、色々なところに不都合が出てくる年齢です。しかし、やっかいなのは、最近の50代の人間というのが、自分が「まだまだこれから」「一番脂が乗ってきた時期」だくらいに思いこんでいるということでしょう。

しかし、実は、例えば、ファイナンシャルリテラシーは、統計を見ると、なんと、53歳程度から、下降が始まります。

The Age of Reason: Financial Decisions over the Life Cycle and Implications for Regulation

上は、どういう調査かと言うと、クレジットカードの申し込み条件をいろいろ検討して、≪最も条件の良いクレジットカード≫を選ぶ能力を調べる、といったもの。

実は年齢が若いと、経験値が低いため、最適な条件のカードが選べません。他方、高齢化により認知能力が下がってくると、やはり最適な申し込み条件が選別できなくなっていきます。この調査によると、経験値と認知能力の交差点が最適化するのが、53歳だったそうなのです。

つまり53歳程度までは確かに人間の社会的な能力というのはどんどん高まっていくので、50代を「働き盛り」と感じることにも間違いはないのですが、その反面、人生最高の判断能力を備えるに至る53歳をきっかけに、それ以降、徐々に、認知能力の衰えが、経験値の蓄積を上回っていきます。

下の別の調査によると、60歳以降の対象者は、平均すると毎年1%ずつ、ファイナンシャルリテラシーのテストの成績が落ちていくそうです。

Old Age and the Decline in Financial Literacy

米国では国民の総資産のうちの50%以上を60歳以上の世帯が所有しているため、この層の金融資産を守るということが大変重要なわけですが、この例一つをとってみても、個人レベルでも、「何もしなければ自然に劣化が進んでいく」ことを止められないことが分かります。この調査によると大卒であるかとか男性女性であるかなどといった一般的な属性に、有意のある差は見られませんでした。

他方、金融関係の仕事をしている方々の中には、相当な高齢の方もいるわけで、一番有名な例は、現在90歳であるウォーレン・バフェット氏だと思います。パフォーマンスを維持できている方とそうでない方との差が若い時以上に広がっていく、それが高齢者の世界であるというわけです。

統計を踏まえれば、今後、自分のパフォーマンスを客観的に評価していくことが、いかに重要かがわかってきます。

私自身の場合、チームワークの中で作業をしているので、パフォーマンスの本格的な劣化が始まるようであれば、お客様を含め、周囲に教えてもらうようにするしかないだろうと思います。

簡単な対策がある場合もあり、例えば、最近では、契約書の単純校正は、高校生の子供のほうが速くて正確だということがわかり、「我が家のインターン生」にチェックを任せることにしました。

アメリカンライフあるあるですが、ブローカーから送られてくる契約書には、単純なタイポ(名前のスペルミスや金額の書き間違い等)が沢山あり、数人の目を通ってきてこれですから、私だけのせいでもなんでもないのですが、とにかく、事項によっては、「老眼気味の自分がやるより、より若い人(高校生!)に任せたほうが成果が上がる」ということを認める必要が生じてきているわけです。もちろん、内容自体の最終チェックは自分でしています。

私自身としては、今後、可能な限り、成長できる範囲でどんどん成長を続けたいと思っている反面、同時に、それが可能でなくなるシナリオをも想定しながら、注意深く、進み続けたいと思います。自然劣化に任せている場合でもないので、アンチエイジング対策にも、いろいろ取り組んでいます。

私同様、ご自身の個人資産をマネージメントされている方は、

「70台になった時、今行っている不動産管理業や株式投資の手法がそのまま続けられるものだろうか」
「自分の資産の管理方法を、年齢に応じ、変更していく必要はあるのだろうか(アクティブからパッシブへ)」
「80台になった時に、複雑な相続対策に取り組んでいけるものだろうか」

といった HARD QUESTIONS (難しい質問)を、自分に対して問いかけていく必要があるということです。